介護保険について/国民健康保険の負担軽減について/高齢者や障害者等への「ゴミ片付け」支援制度について(2015年9月議会)

介護保険について伺います。昨年、政府は国会で「医療・介護総合法」の可決を強行しました。

これによって今年4月から介護事業者への「報酬」切り下げ改定、利用者負担の増加、3年間で要支援1・2の人へのサービスの一部を介護保険給付の対象から外すなど、制度始まって以来の改悪がされました。

まず4月から、特別養護老人ホームへの新規入所は原則「要介護3」以上に限定されました。

担当課によれば8月3日時点で市内の特養待機者は576人、うち要介護1・2の人は78人、約14%です。この方々は原則入れなくなりましたが、市は、その代わりになる受け皿をどのように考えているのでしょうか。

また国は要介護1・2でも入れる特例を設けましたが、原則入所させないという方針は変わりません。そこで市の独自基準を設けて、必要な人が入所できるようにすべきだと考えますが、いかがでしょうか。

 

続いて2割負担の導入について伺います。

8月からは、これまで一律「一割」の利用者負担を、合計所得160万円以上の方は「二割負担」に引き上げられました。本市では3192人が該当し、被保険者全体の約14%です。

要介護1で利用限度額までサービスを使う場合、一年で約20万円の負担増、大変重いと思います。

この2割負担に数千円の差で対象になった方を担当するケアマネージャーによれば、ショートステイを諦めた、介護しやすいベッドのレンタルを諦め布団にする、訪問入浴をやめて体を拭いてもらうだけにする、そういう現状があるそうです。人としての尊厳が奪われていると思います。

2割負担になった方の中で、サービスの利用抑制が起きていないか、実態調査を行うべきではないでしょうか。お答えください。

 

同じく8月から、低所得者が介護施設を利用する場合の食費と居住費の補助、「補足給付」も対象要件が厳しくなりました。従来は本人が非課税であれば収入に応じて対象になりましたが、8月から、世帯分離をしている配偶者が住民税課税なら対象外、低所得者でも預貯金などが一定額以上あれば対象外、などの内容です。

例えば特養ホームのユニット型個室に入居している妻の年金が月6万円、世帯分離している夫の年金は月20万円で単身課税。この場合は月々、約6万円負担が増え、夫婦の月収26万円から、施設利用料、約10万円を支払わなければいけません。夫が病気になるなど、何か問題が起こった時、たちまち生活が破綻する危険性があります。

昨年度の補足給付利用者のうち、今年度は申請が却下された方が158人、利用がなくて却下された方は30人だと伺いました。市としてこうした方々の実態を、調査し、把握していますか。答弁を求めます。

 

続きまして、地域支援事業、介護予防・日常生活支援総合事業について伺います。

国の改悪により、全国で2017年度までに、要支援者のホームヘルプサービス、デイサービスは市町村による総合事業に移行することになります。またそれらのサービスの提供主体を、現行の介護保険事業者から、「住民ボランティア」、「無資格者によるサービス」など、「多様なサービス」に置き換えていくことで、コストの大幅削減を図るとしています。さらに「生活支援」「介護予防」について、主要な担い手を住民主体の互助サービスとすると言います。

本市は来年度から総合事業を始めますが、現在のホームヘルプやデイサービスを必要とする要支援者が、必要なサービスを受けられなくなることはないでしょうか。答弁を求めます。

 

またこれまで市の窓口では、高齢者や家族から相談があった場合、要介護認定を受ければ介護保険サービスが利用できると説明し、認定申請を受け付けてきました。

しかし総合事業が実施されると、窓口担当者は「明らかに要介護認定が必要な場合」は、その申請手続きにつなぎますが、総合事業サービスのみ利用する場合は、それを省略して、基本チェックリストを活用し「振り分け」を判断することになります。厚労省は、その窓口担当者は専門職でなくてもよいとしていますので、手が空いている人であれば誰でも振り分けができるということになります。

これにより、介護保険希望者の要介護認定の申請を封じ込めたまま、窓口職員が総合事業へ誘導し、介護保険サービスを使わせない事態が引き起こされる危険性が指摘されています。

要介護認定には医師の診断が必要ですが、総合事業は入り口でそれがありません。認知症の初期症状が見逃され、重度化を招くのではと懸念されています。そこで伺いますが、市はそうした状態で、十分な介護予防が行えると考えますか。答弁を求めます。

 

次に、国民健康保険について伺います。

国は今年度から国保に対し、1700億円の支援金を打ち出しました。これは「低所得者対策の強化のため、保険料の軽減対象となる低所得者数に応じた自治体への財政支援を拡充」するということを目的に実施されました。国によれば「被保険者一人あたり年額約5000円の財政改善効果」とのことです。

本市では国保加入者1世帯あたりの平均所得は約130万円、平均の支払い保険料は約135,000円と伺いました。保険料が所得の10%を超えている、大変重い負担です。

本市には支援金として7億3395万円配分されましたが、同時期に低所得者世帯の保険料軽減に使われた額は約3,700万円でしかありません。あとは一般会計からの繰入れ金を減らしたと伺いました。

そこで伺いますが、この支援金、国は消費税が財源だとしています。政府は「増収分は全額、社会保障の充実、安定化に使う」と説明してきたのですから、この支援金は被保険者の負担軽減を図るために全額使うべきではないでしょうか。答弁を求めます。

 

三つ目に、高齢者や障害者等へのごみ片付け支援について伺います。

先日、高齢者や障害者等の方から「家の中にある大量の荷物を片付けたい」というご相談を頂きました。事情を伺うと、民間のサービスを頼めるような財政的余裕は無く、足腰が弱い、重い病気がある、ご家族は寝たきりであるなど、ご本人たちだけでは解決が難しい状態でした。

東京都練馬区では昨年度から、高齢者や障害者等を対象に、自宅に溜め込まれたゴミの片付けや分別を手助けする事業を始めています。区の福祉部や健康部の担当課が、ゴミ出しの支援が必要な世帯を把握し、支援が必要と認めたら、当該世帯または親族からの了解を受けた後、清掃事務所へ依頼を行います。

練馬区はこの際、住居内での分別と運び出しについては無償で行いますが、廃棄物処理手数料については、45ℓ1袋につき200円とし、対象者が生活保護受給者であれば免除としています。

本市でもこうした制度をつくることで、困難を抱えている市民を救済することに近づくのではないでしょうか。

以上で1問とさせていただきます。

 

2問目

介護保険制度についてです。合わせて特養の増設についても伺います。

本市の計画では、今後3年間で240床を増やすとのことですが、現在の入所希望者は576人です。

先日、要介護4の方を5年ほど、一人で介護している方に伺いましたが、当初は「在宅でがんばろう」としても、毎年体力が落ちてくる、この状態がいつまで続くのか分からない、そういう中で大変なストレスを抱え、全てを投げ出したくなる、介護殺人をする人の気持ちもわかると、そのように話されていました。大変つらい状況の中で、入所の日を待たれているのが実態です。

現在市内の特養ホーム待機者中、最重度の要介護5で一人暮らしの方は14人、夫婦のみ世帯は15人と伺いました。

今後3年間で240床を増やすという今の計画で、本当に解決できるとお考えなのでしょうか。答弁を求めます。

さらに8月から補足給付の申請者は、資産額を証明するために、通帳、有価証券、借用証書などのコピーの提出が義務付けられました。世帯分離している配偶者がいれば、その方も同様です。

本市では、前年度の補足給付認定者のうち、912人が今年度は申請しなかったと伺いました。前年度認定者の約3割です。手続きが非常に面倒で、諦めている方が多いという話を聞いています。市としてこうした方々には、申請について援助をした方が良いと思いますが、いかがでしょうか。答弁を求めます。

 

続いて総合事業についてです。厚労省がモデル事業とした山梨県・北杜市は、全国に先駆けて総合事業を導入しました。昨年11月の話ですが、「介護保険サービスを受けたい」という相談に対して、「市の財政は非常に厳しい」「家族がいて、本人も元気なのだから今すぐ介護保険を利用しなくてもよい」などと、保健師による利用抑制が行われていたそうです。

総合事業では事業費の上限について、前年度の実績をもとに、伸び率は「後期高齢者数の伸び以下」の増加率しか認めないとしています。

予防給付では毎年5〜6%の自然増予測がされていますが、全国平均3〜4%である後期高齢者数の伸び以下に事業費が抑え込まれます。本市でも現行相当のサービスから、より費用の低い緩和基準のサービス、安上がりな住民主体のサービスへと利用者を移行させていくことになってしまうと思います。

こうした上限があるもとで、全ての要支援者を必要なサービスにつなげていくのは不可能だと考えます。

国に事業費「上限」の撤廃を求めるとともに、市として必要な財政支出を行い、要支援者にとって必要なサービスを保障すべきではないでしょうか。答弁を求めます。

 

またチェックリストですが、北杜市では、ヘルパーが「他の自治体であればとっくに介護保険適用でサービスが受けられている」と判断するような人が、保健師は介護適用外だとする、そういう事例があったとのことです。

介護予防を重視するのであれば、それを避けるために、要介護認定申請の権利を全ての人に保障すべきだと考えますが、いかがでしょうか。答弁を求めます。

 

続きまして、国民健康保険について伺います。

国は一般会計からの法定外繰り入れを禁じておりません。2013年度、本市の一般会計からの法定外繰り入れの割合は0.8%ですが、市川市は2%、鎌ケ谷市が1.6%、千葉市や松戸市は1.1%でした。

国民健康保険は国民皆保険を支える、最後のセーフティネットです。

自助や相互扶助では決して支えることのできない人々の医療保障を図り、受診する権利、健康になる権利、生きる権利を保障するために、公的医療保険の一つである国保が歴史的に整備されてきました。

なのに、市の資格証明書発行は181世帯です。

2011年度の所得に占める一人あたりの保険料負担は国保9.7%、協会けんぽ7.2%、組合健保5%となり、国保料の高さが突出しています。

また国保の被保険者に65歳以上の高齢者が多く、本市では4割だと伺いました。

高齢者や非正規雇用の方など、低所得者に過重な保険料負担率を課しているのが実態です。

重ねて伺いますが、他市のように繰り入れを増やし、低所得者の負担を減らすべきではありませんか。答弁を求めます。

ゴミ片付け支援制度について伺います。

包括支援課に確認しましたが、結局、料金を徴収するとのことでした。基本的に制度はないということです。

市は一人暮らし高齢者の方の数を、10年後には1.4倍になると見込んでいます。今後こうした制度が求められてくることになると思いますので、ぜひご検討をお願いいたします。

以上で2問とさせていただきます。

 

3問目

総合事業についてです。

サービスの適正化をするとのことですが、総合事業はこの事業費「上限」による地方自治体への「兵糧攻め」を通じたサービス切り捨てこそが本質だと思います。

国に事業費「上限」の撤廃を求めるとともに、市として必要な財政支出を行うことについて、再検討をお願いいたします。

 

続いて、国民健康保険についてです。

そもそも大抵の制度は国の指針通りの運用をと言いながら、消費税は社会保障の充実に使うという政府の言い分には従わない。これはおかしいのではありませんか。

市として繰り入れを減らさず、国の支援金を保険料負担の軽減に生かすべきだと思いますので、再度検討をお願いします。

 

最後にゴミ片付け支援についてですが、以前、市に相談しましたら、ボランティアでしか対応できないと伺いました。そうしますと、困っている人は、一体どこに相談したらよいのでしょうか。

そのことをお伺いしまして、質問を終わらせていただきます。

 

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