日本共産党の松崎佐智です。通告4番の「滞納対策について」は、次回以降にさせていただきます。
はじめに国民健康保険の広域化・県単位化について伺います。前回広域化にあたって、保険料を引き上げるべきでないと伺いましたところ、健康高齢部長から「全体像が見えてきたところで、本市の保険料率や一般会計からの法定外繰入について考えていく」というご答弁がありました。
千葉県は8日、公費拡充分の一部である60億円が国から国民健康保険に投入されることを踏まえた第3回保険料試算結果を公表しました。船橋市では2015年度と比べて一人当たり8,296円の引き上げ額になるというものです。5月の段階の23,231円よりは減りましたが、引き上げであることには変わりません。
しかも毎年加入者の高齢化が進み、医療費が上がるなか、県から示される標準保険料がそのままであることはあり得ませんし、必ず上がっていきます。さらに法定外繰入を無くした場合の引き上げ分が含まれていません。2015年度の一人当たりの法定外繰入はおよそ18,000円です。国や県の望む通りにそれを無くせば年間27,000円ほど保険料を引き上げられる計算になります。
本市では7世帯に1世帯が保険料を滞納しているだけでなく、7月時点では保険証の有効期限が短い「短期被保険者証」の発行世帯数が4,586、病院で医療費を一時的に10割全額負担しなければならない「資格証明書」発行世帯数が163。これが現状です。貧困者が多い地区ほど短期被保険者証の発行割合が多いのは、担当課ならお分かりだと思います。
無保険者を生み出している状態で、保険料を上げてしまえば、この状態がひどくなるのは火を見るより明らかです。
国や県はこれから残りの公費拡充分、仮係数や本係数など徐々に示してきますが、今後どのようなことが示されても、保険料を引き上げるべきでないと思います。再度ご見解を伺いますのでお答えください。
むしろこの状況下では保険料を下げるべきです。7日の本会議で中沢議員の質問に「54市町村中2番目に安く、他市と比べても法定外繰入率が高いので引き下げない」とのお答えがありました。
しかし本市が法定外繰入を行っているのは国が果たすべき責任を放棄しているからではないでしょうか。国保総収入に占める国庫支出の割合は1980年度に57.5%であったのが、2010年度には25.6%にまで下げられました。国は憲法上、「社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」のに、それをやらないから市が肩代わりしているのです。これを減らしたりやめてしまえば、国と同じように憲法を無視して責任放棄することに他なりません。
私はやはり保険料を下げるべきだと思いますし、県に対しては国保運営方針に「法定外繰入」解消の方針を入れるのは国と同じ責任放棄だと、厳しく主張すべきだと思います。市のご見解を伺いますのでお答えください。
保険料の引き下げは、市にとって悪い話ではないと思います。収納率が上がり、滞納対策にかかる事務負担も減ります。お金がなくて病院に行けない人もいますが、早めに受診できれば重度化とそれに伴う医療費増大も防げます。
今本市では恒常的に所得が低い方に対しては保険料を減らしたり免除する制度はありませんが、東大阪市では障害者や高齢者、中学生以下の子のみのひとり親世帯などに、市独自の保険料減免がされています。
子どもや高齢者などの貧困が社会問題になっています。本市でもこうした制度をつくるべき時期ではないでしょうか。ご答弁ください。
続いて西部地区の学校問題について、日本建鐵跡地への学校建設が必要ではないかという観点から伺います。
教育委員会は2021年度開校予定の(仮称)塚田第二小学校について、翌年には学級数が33、さらに翌年は34学級と、マンモス校になると予想しています。
学校教育法施行規則は「小学校の学級数は12学級以上18学級以下を標準とする」と定めていますが、本市は「特別の事情」があるとして、標準規模校は12学級以上24学級以下とし、25学級以上30学級以下を大規模校、31学級以上を過大規模校と分類しています。つまり国が責任放棄で行った規制緩和に乗っかっていますが、それでも塚田第二小学校は最大規模になるということです。
昨日、議員が「学区がコミュニティを分断」し、子どもが犠牲になっている現状をご紹介されました。「学区によって近所の学校に通えず遠くの学校に行かなければならない例がある」とのことでしたが、(仮称)塚田第二小学校でもそうした問題が起きています。お手元の資料をご覧ください。
中央の赤い枠の中が塚田第二小学校の学区ですが、AGCテクノグラス跡地のすぐ南、山手3丁目の児童は、徒歩2〜3分の塚田第二小学校には通えず、徒歩15分ほどの行田東小学校へ通わなければなりません。住民説明会で、地元の方から新しい学校に入れたいと改善要望が出されましたが、担当課は「こちらを受け入れると申し訳ないが31学級となり、過大規模校としてスタートすることになる。ただそうした強い声があると学区審議会で話す」とお答えになりました。
このほかにも新設小学校の学区内の子どもたちは、市場小学校では放課後ルームが足りなくなりましたし、2021年度に4年生以下なら基本的に転校を強いられる、東武線とゴルフ練習場に挟まれた危険な道路が通学路になる可能性があるなど、乱開発によって様々な犠牲を強いられています。
この学区のすぐ西にある山手一丁目の日本建鐵跡地は、東京ドーム2個分の面積です。マンション開発がされれば急激な人口増は避けられません。教育委員会からは2023年度、北西の行田東小学校が13学級になるので建鐵跡地にマンションが建っても吸収できると伺いましたが、再開発はここだけでなく、北本町でも進んでいます。広域をみれば海老川上流地区や市場小隣のJR社宅跡地もありますし、そもそも周辺の過大規模校である塚田、法典、葛飾小学校などにも影響が出る話ではないでしょうか。
昨年度県内1のマンモス校になった葛飾小学校では、児童から校庭が狭いという話が出ています。乱開発に手をこまねいてきた責任が問われると思います。
私は学区を余裕をもって組み立てるには、学校をもう一つつくることが必要だと思います。西部地域では日本建鐵跡地のほかに大規模な空き地は今の所ありません。
日本建鐵跡地に学校を建てるための手立てを真剣にとるべきだと思いますが、いかがでしょうか。ご答弁ください。
またマンション建設で開発利益を上げる大手不動産会社にも、まちづくりの費用を負担させるべきだと思います。西部地域では学校や保育園、駅前駐輪場に公園など、どれもこれも足りていないにも関わらず、総武線沿線という条件から人口は今後も増加すると予測されています。
やはり学校不足が問題になった東京都江東区では、公共施設整備協力金、通称「マンション寄付金」と呼ばれる制度を2002年に復活させました。「30戸以上のマンションやワンルームマンション等を建設する事業者に、一戸あたり125万円の施設整備協力金を求めるものと」し、そうでなければ認可保育所を整備させ、さきほどの協力金と相殺するという制度です。ほぼ全ての事業者が協力し、昨年度のこれによる江東区の収入は13億8,514万円に上りました
これが学校建設に生かされています。
2007年からの10年間、船橋市では52,000人もの人口が増えています。
マンション業者に学校などの公共施設整備費用を負担させる制度を本市でも導入し、しっかりと整備を進めていくべきではないでしょうか。ご答弁ください。
最後に障害福祉について、相談支援専門員等の増員と、代読・代筆支援の創設、生活支援課のケースワーカーへの障害福祉に関する研修について伺います。
相談支援専門員とは、障害のある方が自立した生活を送れるように、障害福祉サービスなどの利用計画の作成や、成年後見制度の利用支援など、全般的な障害者の方の相談支援を行う専門家です。
自らサービスの利用計画を作っている方もいますが、本当はいろいろ相談したけど、どこに相談したらいいかわからない。そういうふうに悩まれていたケースがあります。しかしそんな時に専門員をつけたいと思っても、数が足りません。
今市内には相談支援を行う事業所は25ヶ所あり、登録された相談支援専門員は60名だと伺いました。障害者に様々な社会資源を周知することもできるよう、専門員を抜本的に増やすことが必要ではないかと思います。
本市では身体・療育・精神障害者手帳をお持ちの方は約23,000人ですが、そうしますと市内の相談支援専門員一人当たりの人数はおよそ400人です。もちろん全ての障害者の方が相談支援を望んでいるわけではないでしょうから、単純にこの数字だけで深刻だと言うわけにはいきませんが、しかし選びたいときに選べない。選択肢がなく、諦めるしかない。これを仕方ないで済ますわけにはいかなくなってきているのではないでしょうか。
障害者権利条約が批准され、昨年4月から施行された障害者差別解消法は、「全ての障害者が障害者でない者と等しく、基本的人権をもつ個人としてその尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい生活を保障される権利をもつ」ことを踏まえて制定されています。また市町村には障害を理由とする差別の解消を推進する責務があると定められています。
これに基づけば相談支援専門員を必要とする人が付けたいときに付けられるよう、抜本的に増やす手立てをとる必要があると考えますが、いかがでしょうか。ご答弁ください。
またそもそも相談支援専門員とか、よく分からないという方も多いです。
こうしたことを周知する役割もある障害福祉課の地区担当ケースワーカーは5名だと伺いましたが、一人当たりの市内障害者数は4,600人ということになります。市としてこれで十分だというお考えなのでしょうか。私は増やすべきだと思いますが、ご見解を伺います。
さらに生活支援課のケースワーカーはただでさえ国基準まで配置できていないにも関わらず、多種多様な知識が求められます。2015年度時点では、生活保護利用者の25%が傷病・障害者世帯です。
とりわけ複雑な障害福祉については、ていねいな研修が定期的に行われる必要があると思いますが、それはされているのでしょうか。お答えください。
最後に代読・代筆支援についてです。
本市では要約筆記などの事業はありますが、目が見えない、見えづらい方に自宅で代読・代筆を目的を限定せずに行うような支援はありません。しかし国では意思疎通支援事業の一つとして位置付けており、市町村が代読保障を行うことを妨げていません。
導入している我孫子市では、昨年度のべ120回、のべ113時間の利用実績があり、代読・代筆支援をする事業所への報酬は1時間あたり1,500円。昨年度の本事業の決算は約16万円とのことでした。主に家電製品の説明書や郵便物の代読に利用されています。我孫子の人口が13万人ですので、本市の規模なら倍の報酬にしても200万円にもなりません。対して昨年度の障害福祉費の不用額は4億円です。
日本も批准した障害者権利条約では、障害者が情報、通信、その他のサービスにアクセスしやすくなるよう、国が適当な措置をとり、バリアを撤廃する義務が定められております。しかし現実は全くそうなっておりません。
私は合理的配慮の一つとして本市でも代読支援を行うべきではないかと思います。ご見解を伺いますので、ご答弁ください。
以上で1問とします。