学校教育の問題と、外国人に関する施策の問題、生活保護利用者の医療の問題について伺います。
はじめに以前から議会で議論になっている「市費での教員配置」を、改めて強く求めます。
市内の小中学校で、担任の先生がいないクラスが増えています。担任が出産休暇、育児休暇、病気療養休暇等に入った際、通常なら配置されるはずの代替教員が足りず、教育に穴が空くという事態が起きています。
12月に坂井議員が指摘させて頂いたときは市内で7人未配置でしたが、2月1日現在、千葉県全体で112クラス、船橋市では22クラス、担任未配置となっています。船橋市は県全体の19%と、県内一未配置が多い自治体です。複数のクラスに穴が空く学校もあり、かつてない異常事態だと思います。
県全体では教員の療養休暇による未配置が5割を占めます。また市内で産休・育休を取得する教員は4年前には84人であった所、今年度は159人と倍近くになっています。20代30代の教員の多さからくるもので、来年度もさらに増える見通しです。
では担任未配置のある学校では、どういうことが起きるか。少人数指導で加配された教員がまず担任に入り、この時点で加配が生かせなくなります。しかもこの人数は少なく、足りなくなれば次は、教務主任が担任としてクラスに入ります。教務主任は学校全体の教務課程の運用を担い、ただでさえ遅くまで仕事をする方です。しかも習字など、授業を担当されていることが多く、教務主任が担任になると学校全体が苦しくなります。他の担任がそれまで、週一回の空き時間に授業準備などの仕事を片付けていたものが、不可能になるからです。
音楽専科の教員が担任に入る場合も多いと言いますが、音楽の授業は大体週1〜2回です。小学校の担任となれば非常に多くの科目を子ども達に教えますから、専科教員は慣れない担任で苦しくなる。他の各担任は空き時間が減り、やはり苦しくなっていきます。
また教頭と再任用の先生など二人の教員が、一週間に約半分ずつ担任に入るケースもあると言います。すると、子ども達はどうなるか。例えば忘れ物をしたらA先生は「これに書きなさい」と言い、B先生は「諦めなさい」と指導する。いくら打ち合わせても限界がありますので、一時が万事食い違っていく。子ども達は安心できず、居場所がなくなると言います。最悪、いじめが起きたり、学級崩壊に至ってしまいます。
そうならないよう、担任の先生たちは必死になります。それで余計に苦しさが増し、その他の担任は空き時間がなくなり、ただでさえ一日12時間勤務が実態の所、プラス1時間、2時間の勤務で、ドミノ倒しのようなことが起きます。以前は教員が子どもの宿題をみたりと、丁寧な対応をしていたのが、できなくなる。子ども達もどんどん不安定になります。
市内のある小学校では三つのクラスで代替教員が配置されず、教務主任や音楽の先生、教頭や誰かのやりくりでなんとかするという事態が起きました。うち一つのクラスは1月から講師の代替がやっと来てくれたものの、経験が少なく、すぐに体調を崩して来られなくました。いよいよ学校は対応困難となり、学習進度が遅れた状態を取り戻すため、苦肉の策でその学年の三つのクラスを二つに編成し、1クラス50人を超える状態で授業をしました。1月25日から31日までの5日間と、少ない期間でしたが、現場の先生方のご心労を思いますと胸が痛みますし、何よりも、子ども達の学ぶ権利が奪われかねないと思います。
教育長に伺いますが、船橋市の担任未配置数は県内一で、しかも今申し上げたような異常事態も起きていたことをご存知でしたか。どういうご見解をお持ちでしょうか。ご答弁ください。
学校の先生たちの多忙化は、管理職にも及んでいます。全国公立学校教頭会の今年度の調査によりますと、副校長や教頭の8割以上が1日あたり12時間以上勤務し、最多は「13時間以上14時間未満」です。10年前と比べても1時間以上伸びており、有給休暇も全くとらない方が全体の1割弱にもなる。市内のある教頭先生は、地域対応や施設管理の仕事に加え、担任未配置の影響で、机に書類が山盛りになり、ボロボロになっていると伺いました。ひどい状況だと思います。
前回の議会で学校教育部長は、「教員は基本的に県教委が配置すべきもので、市での配置は予算や人材確保の面から大変困難」とお答えになりましたが、優先順位の問題ではないでしょうか。教育に穴が空き、それが増え続けるという異常事態です。船橋市で独自に教員を雇うべきではないでしょうか。
ご存知の通り、柏や浦安、市川などでは、市の負担で補助教員を雇っています。また産休などでクラス担任に穴が空き、代わりがいないとき、補助教員の中から学級担任になれる人がいれば、本人と相談の上、県費で採用し直し、担任になってもらう。そういう措置もされています。
子どもや現場の負担軽減のためにも、本市で教員を雇い、県内で最も担任未配置が多い現状の改善につなげるべきだと思いますが、いかがでしょうか。ご答弁ください。
次に、市内在住の外国人に関する施策について伺います。
外国人の市民が急増しています。2012年度には約11,000人でしたが、今年度は約15000人と、市の人口の2.4%になりました。
外国人であっても納税など一定の義務を負い、自治体と密接な関係を持ちます。しかし国民健康保険を知らずに入っていない、そのため怪我や病気があっても病院に行かない、行っても言葉が通じない。通訳サービスの存在や就学援助制度を知らない。なかには学校に通えず虐待に合い、市に保護された子どももいます。
そうした例には様々な要因があると思いますが、外国人の市民の生きづらさ解消に向けた、実効的な仕組みが必要ではないでしょうか。本市では中国語と英語の市民便利帳を発行していまが、税金については詳細な記載がある一方で、就学援助や介護保険、生活保護のことなどは載っていません。必要な情報が当事者に届いているのか疑問です。
川崎市では1996年、外国人市民代表者会議を条例で設置し、今では公募で選考された26人以内の外国人が年8〜9回の会議を開き、地域生活上の様々な問題について話し合っています。委員の国籍はアメリカ、ブラジル、ケニアや朝鮮、中国など多様です。協議の結果、市長に報告、または提言を出すことで、これまでに居住支援制度の創設、多言語情報コーナーの設置、外国人向けの窓口や問い合わせ先一覧の配布などの各施策に活かされています。
本市でも外国人市民の代表が、市政に関わる事項について協議することで、共生に向けた取り組みを進める必要があると思いますが、いかがでしょうか。また外国人の市民の生活上の問題について、実態調査を行なうべきではないでしょうか。ご答弁ください。
最後に生活保護利用者の医療を受ける権利を保障するために、医療証を発行すべきではないか。この点について伺います。
被保護者は通常、けがをしたり具合が悪ければ福祉事務所に申請し、医療券を受け取ってから指定医療機関で医療券を提示し、治療を受けるという仕組みになっています。この点、船橋市ではほとんどの場合、電話で申請があれば病院に直接医療券を送っており、それは評価しますが、そもそも健康保険証があればいつでもどこでも医療にかかれる、こうした仕組みではない医療券方式は、被保護者の医療を受ける権利を侵害しているのではないでしょうか。
福祉事務所が閉まっている夜間や土日が不安だという声があります。市内のある被保護者は、土曜に我慢できないほど腰が痛くなり、病院に行ったものの「保護の通知書が必要だ」と言われ、自宅に取りに戻りました。しかし結局、再度行った病院の窓口で「去年のではなく、今年の文書が必要だ」と断られたそうです。結局この方は、月曜まで痛みに耐えざるを得なくなりました。
なじみの病院なら大丈夫だと、医者の善意で解決できるという話がありますが、制度的に保障されていないのでは、医療抑制につながります。
安心して被保護者が医療を受けられるよう、健康保険証に代わる医療証を発行すべきではないでしょうか。ご答弁ください。