生活保護利用者への年一回の資産調査について/家具転倒防止・耐震シェルター・防災ベッドの助成制度を/国民健康保険広域化に伴う保険料値上げについて(2016年9月議会)

はじめに生活保護利用者への資産調査について伺います。

厚生労働省は昨年4月から生活保護の「実施要領の取り扱い」を変え、生活保護利用者の「現金、預金、動産、不動産等の資産に関する申告」を、少なくとも12ヶ月ごとに行わせることにしました。手持ちのお金や預金はいくらなのかなど、これまでは保護の申請時のみにしていた資産申告を、一年に一回は求めるものです。

これによって、ケースワーカーから「財布の中を見せるように言われた」とか、「申告に応じるまで帰らない」と言われた生活保護利用者の方がいます。

これが生活保護法に違反しており、人権侵害を招いているという指摘がありますので、この観点から質問させて頂きます。

生活保護法61条は利用者の生計の状況に変動があった場合に届け出義務を課していますが、変動がないなら課していません。また28条は、保護の実施機関は「必要があると認めたときは、利用者の資産及び収入の状況の報告を求め、調査をすることができる」としており、具体的な必要性がない調査を認めていません。

よって今回国が決めた、機械的な年一回の資産調査も、利用者に義務付けるのも違法ということになりますが、船橋市は、そうしたご認識をお持ちでしょうか。私は生活保護利用者への嫌がらせにしかなっていないと思いますが、いかがでしょうか。お答えください。

また本市では年一回の資産申告の際、直近2ヶ月分が記帳された通帳のコピーの提出まで求めています。伺いますが、これはプライバシーの侵害ではないでしょうか。ご答弁ください。

そもそも預金残高を利用者が申告すれば済むと思いますが、なぜ直近2ヶ月の履歴提出を求めるのでしょうか。福祉事務所は金融機関等への調査もできますし、提出にこだわる必要はありません。嫌がらせでしかない通帳コピーの提出依頼は、やめるべきではありませんか。ご答弁ください。

さらに利用者が通帳コピーの提出を拒否した場合、上司が担当職員に同行して再び提出を頼むと伺いました。利用者からすればプレッシャーになり、萎縮させる結果にしかなりません。一度拒否されたら、そこで終わらせるべきではないでしょうか。お答えください。

この資産調査について、ある方は「自転車を買うために貯金するのさえ、やりにくくなった」と述べました。まるで生活保護利用者は、制度上必要な積立さえもしてはいけないというような、間違ったメッセージを発していると思います。

しかし実際には生活保護利用者でも、エアコンや冷蔵庫など、耐久消費財の買い替え費用とか、自転車を買うとか、「使用目的が生活保護の趣旨目的に反しない場合」は、積立が認められます。

さらに「なんとなく貯めていた」とか、具体的な目的がない積立でも、一律に停廃止にはしない。最低限度の生活を下回る生活をして蓄えたものであることから、その活用について丁寧に指導・助言をして、停廃止にならないようにする。そういうことでよろしいでしょうか。確認させていただきますのでご答弁ください。

 

続いて、防災・減災について、家具転倒防止の助成制度について伺います。

今年発表された千葉県の地震被害想定調査では、冬の5時の震災の場合、家具転倒防止が現状6割実施済みのところを100%にすれば、亡くなる方を5割減らせるという結果が出ています。

また昨年、東京消防庁と火災予防審議会が都知事に行った、「地震火災による人的被害の軽減方策」という答申には、家具類の転倒・落下・移動防止対策は、ケガの減少や避難経路の確保だけでなく、出火対策としても有効で、火災により亡くなる方を大きく減らせるとあります。

例えば地震で倒れる家具や落下物が、ストーブなどに当たって出火する事態を防げるため、都内で家具転倒防止対策が6割実施済みのところを100%にすれば、予想出火件数は1割、死者数は2割減少するとのことです。

前回の議会で市長公室長は、千葉県の最新の地震被害想定調査では、船橋市の火災による死者は470名、前回調査の約5.4倍だと述べられました。家具転倒防止の促進に効果的な制度が必要だと思います。

この制度は中核市では川越市など6市で、県内では千葉市など12市町村で実施しています。このうち、いすみ市と長生村は所得や年齢などの制限もありません。

本市は前回、家具転倒防止助成制度を求める質問に対して、「自主防災組織の補助金の助成対象に加えて、利用促進を図っている。周知を測りたい」とお答えになりました。

しかしなぜ、自宅の家具転倒防止の助成を、自主防災組織を経由して行わなければならないのでしょうか。年間の補助金の上限額は、組織の世帯数が100世帯以下なら2万円、1000世帯なら8万円、3000世帯なら11万円です。実際にこれまで、この補助金で家具転倒防止金具を買ったケースは一件だけですし、自治会館など共同施設に使われたと伺いました。

補助金のメニューに家具転倒防止金具があっても、市民の自宅には使わないですし、使えません。

家具転倒防止助成制度は、千葉市ではこの3年間で23件利用があり、総額は約15万円。‪市川市では同じく3年で22件、総額約18万7千円です。

転倒防止の金具設置費用は安くて6000円ほどですが、仮に5000円を100世帯に助成しても、総額50万円です。木造住宅耐震改修助成が昨年度10戸に行われて500万円だったことと比べても、ずいぶん安いと思います。

安くて市民に喜ばれ、金具取り付けなら街場の工務店の仕事にもつながる。地震時の出火件数と死者数の減少にもつながります。市民の自宅の家具転倒防止のための、助成制度をつくるべきだと思いますが、いかがでしょうか。ご答弁ください。

それから耐震シェルターと防災ベッドの助成制度創設についてです。

前回の議会で市は、「建物そのものの安全性の確保が最重要」だとお答えになり、実現には背を向けました。また、おととし3月の議会では、数百万円の耐震補強工事代が払えない市民はどうすればよいかという質問に対し、「個人の財産は個人で守るというところがあり、ご自身で考えねばならない」とお答えになっています。

私は市のお考えには福祉の視点が欠けており、人命確保は二の次という姿勢が現れていると思います。

昨年の財務省の資料によると、一人暮らしの高齢者の4人に一人は、貯蓄が300万円未満です。年金引き下げや消費税増税、介護保険料引き上げなど、様々な制度改悪が高齢者の貧困を深刻にしています。

個人の財産は個人で確保をと言いますが、それができない人のために福祉があるのではないでしょうか。実際、本市では1996年頃、木造住宅の一室を耐震補強する改造費を、無利子で貸し付けていたことがあります。防災ベッドや耐震シェルターの設置助成制度をつくるべきだと思いますが、いかがでしょうか。ご答弁ください。

 

最後に国民健康保険について伺います。

昨年5月、国民健康保険法が改定されました。2018年度からは都道府県が財政運営を担うなど中心的な役割を果たし、大きな権限を持つことになります。

大阪府では先行して広域化が進められています。たとえば市町村に対して、不適正とみなす一般会計繰り入れにはマイナス10点、収納率が落ちた場合もマイナス10点、医療費抑制が進んだ場合はプラス20点と、採点表をつくって交付金に差をつけました。そのために一般会計繰り入れで国保料を抑えてきた自治体が、値上げせざるを得なくなっています。

都道府県化によって、こういうことが全国に広がるのではないでしょうか。

地域医療ビジョンで医療の提供体制を県が決め、医療費に占める割合の大きい国保財政も県が握り、市町村ごとに一般会計繰り入れ解消の目標も県が立て、保険料の例を示していく。

しかも本市は私たちの国保料削減を求める質問に対し、度々、一般会計からの繰り入れによって、県内でも安い国保料にしていると答弁されています。こういういろんなことを考えますと、2018年度からの都道府県化で、本市の国保料が値上げされる可能性がかなり高いと想定がされますが、それでも船橋市は値上げしないという意思はありますか。お答えください。

先月末時点で、国保料の滞納により、保険証が取り上げられ、国民皆保険から締め出され、医療費の負担が全額になったのは、121世帯です。

保険料でさえ滞納されている方が医療費を全額支払うのは、ほぼ不可能だと思います。そうなれば医者にもかかれません。

所得の約1割にもなる高い国保料であるために、加入世帯の15%が滞納しています。都道府県化されても、これ以上値上げするべきではないと思いますが、いかがでしょうか。ご答弁ください。

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