「介護保険優先原則」から先に伺います。
65歳になった障害者=高齢障害者には新たな負担が生じます。障害者は65歳になると法律上、障害福祉制度から介護保険制度へ移ることが求められるからです。
特に問題が大きいのが利用料です。障害福祉制度の利用料は市民税の非課税世帯は原則無料ですが、介護保険制度は非課税でも1割負担です。
障害者はその8割が年収100万円に満たないという現状があります。本市では今年の4月時点で、生活保護利用者を除いた福祉サービス支給決定者が2,744人。そのうち市民税非課税世帯が2,334人にもなります。つまり障害福祉サービスを利用できる人の85%が非課税世帯で、利用料はゼロですが、この方々が65歳になると問題に突き当たります。
例えば市内のある視覚障害者の人は非課税で、週4時間の生活援助を無料で利用していましたが、65歳になったとたん介護度は要支援2と認定され、色々なメニューを組み合わせるなかで生活援助は週2時間で限度額一杯となり、それ以上は10割負担となります。サービスも1割負担になりました。年間125,676円の負担が生じ、仮に市の4割助成制度に該当しても75,000円程度の負担が生じます。生活を圧迫しています。
もし介護度が要支援より軽い自立と認定され、介護保険サービス対象外となっていたら、逆にこの方は今まで通り無料で生活援助を週4時間利用できていたというのが、この制度の矛盾の表れだと思います。
今年度から自己負担分が年1回返金される負担軽減策が始まりますが、原則5年間は所定のサービスを事前に使っていたことや、介護度が要支援なら対象外であるなど、厳しい基準があります。そのため高齢障害者の間で支援される人とされない人が出てくる、格差が広がるという新たな問題を起こしかねません。
障害者は介護保険制度への移行によって、こうした新たな負担の発生、サービスの量が大幅に減ることもある、障害福祉に熟練した支援が受けられなくなり支援の質が低下することさえある、環境変化による問題など、深刻な人権侵害に直面します。これが介護保険優先原則問題と言われるもので、岡山市や千葉市では市が被告になる裁判まで起きています。
憲法14条には全ての国民は法の下に平等とあります。しかし一律に年齢で差別をする。自治体によって対応が大きく違うなど、総合支援法7条は非常に不安定な制度設計になっています。
最初に伺いますが、こういう制度設計は憲法違反であり、障害者にとって非常に不利益なものです。私は非常に問題があると思いますが、市はこの問題をどのように受け止めているのか、ご認識を伺いますのでご答弁ください。
つぎに放課後ルームのトイレと育成料について伺います。
初めにトイレですが、保護者の方から夜間や長期休みの時は和式トイレしか利用できないというお訴えがありました。調べた所そういう放課後ルームは4つあり、二和、八木が谷、芝山東、高根台第二です。二和は一時的にそこを使っているということですが、残りの3つのルームは男子トイレか女子トイレ、いずれかが常時和式のみになっています。
いま子どもに和式トイレの練習をさせるようにと保護者は言われていますが、和式トイレ自体がなかなかありません。また多忙な保護者の負担になっています。和式トイレが苦手な子どもたちは学校ではトイレに行くのを我慢するという実態もあります。そういう子ども達も放課後ルームならいつでもトイレに行けますが、和式であるために結局我慢をしています。
伺いますが、私は夏休みなら一日中いるような場所でトイレが使えないというのは、子どもの健康確保の面から大きな問題があると思いますが、市のご見解を伺います。ご答弁ください。
続いて育成料について伺います。
就学援助を利用されている保護者の方から、放課後ルームの育成料は高すぎるのでルームを使っていないというお話を伺いました。
育成料は、一定の所得以下であれば減額されますが、低すぎる基準になっています。「前年の所得税非課税世帯で、前年度の市町村民税が所得割1万円未満の世帯」であれば4000円減額されます。
しかし例えば就学援助の対象である年収約326万円の母子二人の家庭ですと、市民税所得割額が70320円になって、育成料の減額基準にはあたりません。
就学援助では学校の給食費も免除されますが、育成料は満額ですし、おやつ代2000円も払わないといけません。放課後ルームは保育であると同時に、子どもが学校に通い続けられる環境を保障する役割もあります。
私はこういう点からみて現行のあり方は不合理だと思いますが、いかがでしょうか。市のご認識を伺いますのでご答弁ください。
また保育料は保護者が事故や病気で動けなくなったり、いろんな事情で収入が激減した時に申請すれば減免される制度がありますが、育成料にはありません。
先ほどの件と合わせて3月議会で岩井友子議員が指摘した所、船橋市は「他の自治体の事例の調査研究を進める」とお答えになりました。
私は収入激減による減免なら予算もそれほどかかりませんし、すぐにやるべきだと思いますが、いかがでしょうか。ご答弁ください。
最後にスクールガードについて伺います。
まず登下校時の子どもの安全確保について、船橋市は重要だと認識されていますか。ご答弁ください。
交通安全協会によると雨の日は交通事故の確率が5倍になります。さらに雨の日は周囲の音が雨音で把握しづらい、雨具や傘で周りが見えにくいなどで、不審者の気配が見つけづらいという指摘もあります。
ですから私は雨の日ほど子ども達にとって、交通事故や、不審者の気配を見落とすリスクが高まるのではないか。このように考えますが、この点について市のご見解を伺いますのでご答弁ください。
以上で一問とします。
2問
介護保険優先原則について
厚労省は事務連絡で自治体に、機械的に介護保険へ移行させるのではなく、「個々の実態に即した適切な運用」をするようにと言い、介護保険にあるサービスでは十分な支援が受けられないときは、福祉サービスの上乗せ、併給を認めています。
しかし船橋市は福祉サービスを上乗せするにあたって、独自基準を作っています。
例えば重度訪問介護では身体障害者手帳1級の全身性障害者であること。要介護5であることなどです。
また短期入所=ショートステイでは、身近にある介護保険の事業所が満床などで受け入れできないことなどが基準です。
例えばこういう例があります。ある市内の身体障害者の人はショートステイを利用していましたが、65歳から介護保険施設でショートステイを利用するようにとされました。しかしそこには障害者の介護に慣れたヘルパーがいなくて、慣れるまでお互い2ヶ月かかったといいます。
障害者基本法10条の2には、自治体は障害者施策を講じるにあたって、「障害者その他の関係者の意見を聴き、その意見を尊重するよう努めなければならない」とあります。
国だけでなく、自治体にも責任があります。市の独自基準で一律に併給を除外し、65歳以前よりサービス量が減ったり、慣れ親しんだ施設が使えなくなるというのは、本当に障害者の意見を尊重しているのかと思います。現行の市の運用には問題があると思いますし、市基準を無くすべきではないでしょうか。ご答弁ください。
また今年度65歳になった福祉サービス支給決定者は50人〜60人程度だと伺いました。
すべてのケースについて個別に意向を聞き取って、65歳以前より不利益にならないように柔軟に対応すべきだと思いますが、いかがでしょうか。ご答弁ください。
あわせて65歳になるとき、担当者に左右される口頭説明だけではなく、案内文書にも福祉サービスが併給可能だとわかりやすく書くことを求めますが、ご見解を伺います。
さらにいつ誰が当事者になるか分かりません。65歳以降も福祉サービスが併給可能なことを広報やホームページなどで市民に知らせるべきではないですか。ご答弁ください。
負担軽減策については、先ほど申し上げた通り要支援だと救済されません。
厚労省が2014年8月に行った調査で、どれくらいの人が要支援と認定されたかがわかります。「障害者総合支援法に基づく自立支援給付と介護保険制度の適用関係等についての運用等実態調査」というものですが、回答したのは政令市20、中核市34、その他市区町村205の合計259自治体です。
それによると最も軽い障害区分1の人は50.7%が要支援の判定でした。区分2の人は50.9%、区分3の人は34.2%、区分4の人は12%、区分5の人でも6.8%、もっとも重い区分6の人でも0.8%が要支援と判定されていました。全体では3割です。
福祉サービスを利用する障害者の約9割は市町村民税非課税世帯ですから、この人たちのほとんどは救済されません。
やはり問題があると思いますが、いかがでしょうか。ご答弁ください。
放課後ルームについて
(簡易洋式化するの答弁を受けて)
学校の校舎を使ってるルームでトイレの問題が起きているということで、やはり学校のトイレ洋式化が急がれると思います。
例年国が学校施設整備費の補正予算をつけて、市が前倒しでトイレ洋式化を進めるということが行われていますが、今後は放課後ルームにも配慮した計画を立てるべきではないでしょうか。ご答弁ください。
育成料について
私はやはり不合理ですから、就学援助の対象世帯は育成料を免除すべきだと思いますが、いかがでしょうか。ご答弁ください。
スクールガードについて
それで伺いますが、いま船橋市はスクールガードの皆さんに、雨の日や天候が悪い日は無理してやらなくてもいいと周知しています。
一方では登下校時の安全確保の重要性を言い、雨の日はリスクが高いと認めながら、他方では責任を放棄しているということで、これでは子どもの安全を真剣に守るということにはなっていないのではないでしょうか。ご答弁ください。
3問
介護保険優先原則について
基準を定めるのは適切という国の通知に従って基準を定めているとのことですが、これも「福祉サービス上乗せの弾力的な運用」も、両方とも法的義務ではなく技術的助言です。一方だけ採用して、一方はやらないという、こういうやり方はやはりおかしいのではないでしょうか。
私は65歳になって福祉サービスを利用している障害者がどうなったのか、市内実態調査をすべきだと思いますが、いかがでしょうか。ご答弁ください。
また根本的な問題は国にあります。総合支援法7条を撤廃する、そもそも市民負担が大きすぎる介護保険の国負担を増やすなど、抜本的な福祉制度の改善を市として国に求めるべきではありませんか。ご答弁ください。
スクールガードについて
西部地域では人口増で車も増えていきます。そもそも交通量が多い都市部の船橋市で、子どもの安全はボランティア頼りというのは楽観的にすぎるのではないでしょうか。しかもボランティアの人は職員と比べて事故に遭った時の補償も非常に薄いです。それでも雨の日こそ子どもが心配だからと、大雨でも進んでやるという人達がいます。
私は今のボランティアのスクールガードの人たちを希望する人はきちんと雇うか、もしくは職員を増やしてスクールガードの任務にあてるべきではないかと思いますが、市のご見解を伺います。
またせめて今のスクールガードの人で雨でも出るという人には、きちんとした雨具を支給すべきではありませんか。ご答弁ください。
最後に広報について伺います。
5月15日号の広報で、母子健康手帳の交付にはマイナンバーカードが、マイナンバー通知カードと身分証明書が必要であるという記載がありました。しかし運用上はマイナンバーカードがなくても交付しています。
こういう表記は市民に誤解を与えると思います。マイナンバーはプライバシーの面からも色々問題があると指摘されています。こういう表記はやめるべきではないでしょうか。ご答弁ください。
以上で終わります。