LGBT、いわゆる性的マイノリティの問題について伺います。
議場で何度か取り上げられていますので用語の説明は省きますが、この間私も本市のLGBT議員連盟や、昨年、当事者議員たちが発足させたLGBT自治体議員連盟の勉強会などに参加させて頂き、様々なことを学ばせて頂きました。
特に印象的な学びは性のあり方です。自らを女性と思うか男性と思うか、性的指向の対象が同性なのか異性なのかなど、こうした度合いは十人十色で0か100かではない、誰もがグラデーションの状態にあるという話でした。その傾向がとりわけ強い方がいわゆる性的マイノリティだと聞き、自分にも無知と偏見があると自覚しました。
私も昔から「女らしく、男らしく」という男尊女卑の価値観を浴びるごとに、自分らしく生きたいという気持ちが抑圧されると感じてきました。多様性が認められない社会は生きにくいという性的マイノリティの方の思いに共感します。
ですから私もLGBT当事者です。全ての人が当事者であるのが性的マイノリティに関する問題だと思います。
マイノリティが生きやすい社会は誰もが生きやすい社会につながる、そういう観点で伺います。
国連国際センターのLGBTのwebサイトに「排除の代償」という3分半の動画がありますが、ぜひご覧になって頂きたいと思います。出だしにこうあります。
「人は誰でも個性を持っているが、LGBTはそうであることで虐待を受けている。調査によると半数から3分の2の間でLGBTの若者が幼少期にいじめを経験し、3人に一人が登校拒否あるいは退学をしている。多くのLGBTの若者が彼らの保護者から拒絶され、家から追い出されホームレスとなっている。」
「いじめ、孤立、排除は深い傷を残し、自殺を考える人は通常の4倍で、トランスジェンダーの若者は一般の人の10倍が自殺を試みる。」
「職場での差別が蔓延し、欧州では5人に一人が差別を経験している。LGBTの者は失業、貧困、食糧不足、うつの割合が高い。」
「一人一人にとっては個別の悲劇だが、大きく見れば社会的な損失も大きい。才能、創造性、生産性の損失は社会に重くのしかかる。」年間インドと同等の経済規模である320億ドルの経済的損失があり、税収減少の悪循環につながるという話に続きます。
いま世界では24の国々が同性婚を認め、国レベルで同性カップルを結婚に相当する関係と認めるパートナーシップ制を整備してきている国も含めれば40カ国以上になります。台湾でも来年5月までにアジア初の同性婚を導入するという動きが出てきている。こういう動きは、私は当然のことだと思います。
日本でもこの間、6つの自治体がパートナーシップ制度を導入し、LGBT支援宣言を出した大阪市淀川区、性の多様性を尊重する都市宣言を行った那覇市など、注目すべき動きが生まれています。
市長に伺いますが、こうした国内外の急速な変化について、どのように感じておられますか。ご答弁ください。
「自分のまわりにLGBTはいない」「船橋には少ない」と感じる方が多いと思います。しかし電通総研の2015年の調査では、日本人の7.6%がLGBTに該当するという結果です。人口にすると約960万人、13人に一人くらいの割合であり、千葉県の人口の1.5倍もの規模となります。
ですが一旦カミングアウトすれば、ホモ、おかま、レズ、性的倒錯、変態などの差別的言動に晒される。そのため宝塚大学が一昨年行った調査では、親にカミングアウトしているのは全体の22%であり、職場や学校でカミングアウトしている人は全体の27.6%でした。当事者の4人に3人が、攻撃されないように息を潜めて生きています。
実際に私も質問前にレズビアンの方からお話を伺いましたが、家族に絶縁同様の状態にされたし、職場では危険なので言わなかったと。また高校時代に友人の差別的言動を聞いて以来、同窓会に行っていないとのことでした。
勇気を出して公表した同性カップルにおいては、アパートの入居を断られる、病院での付き添いや看護をさせてもらえない、既婚者に適用される税控除や福利厚生が受けられないなど、人生の様々な場面で差別に直面しています。
総務部長は昨日、公務員の憲法尊重擁護義務を改めて大事だと感じているというようなことをおっしゃいました。私は大事なご認識だと思いました。
そこで伺いますが、憲法14条では全国民の法のもとでの平等が謳われています。私は先ほど申し上げたようなLGBT当事者への差別をなくすには、この条項の実現が必要だと思います。
誰もが安心して暮らす権利が平等に保障されなければなりません。そのうえで、市長はLGBT当事者が受けている様々な苦しみを、どのように受け止めておられますか。ご答弁ください。
次に消費者問題について伺います。
先番議員が取り上げておられた通り、高齢化社会のもとで振り込め詐欺の件数が増えています。2012年の市内の被害額が1億3900万円であるのに対し、2014年は5億円、2015年が3億円と高額で推移しています。
最近多い架空請求詐欺が法務省の民事訴訟管理センターを騙ったハガキを使ったもので、私の関係者にも届きました。インターネット上での被害も増加、複雑化する中で、ご高齢の方や中高生に対する消費者出前講座、個別相談など消費生活センターの需要はますます増えていきます。
しかし消費者行政は全国的に貧弱です。消費生活相談員は2016年から原則として国家資格を必要とし、一人前になるには何年もかかる職業でありながら、ほぼ非常勤です。本市でも常勤職員は一人もいませんが、1日平均7件もの相談をこなし、かつ出前講座などを行っていると伺いました。
伺いますが、相談員の待遇は消費者の権利保障に関わります。相談員は恒常的な業務であり、本来希望すれば常勤職員になれるよう待遇改善を図るべきではないでしょうか。
また時給が高い都内に人材が流れていると伺いましたが、せめて当面、時給を引き上げるべきではないでしょうか。ご答弁ください。
最後に学校教職員の働き方の問題について伺います。
市内の小中学校安全衛生委員会が毎年行う勤務時間の実態調査ですが、今年度も行われました。大事な結果が出ていると思いました。回答者1078人のうち、36%の教職員が1日平均12時間以上、過労死ラインを超えて働いているというものです。
推定では船橋市で働くおよそ2300人の教職員のうち、800人が過労死ラインにあるということです。私は大変危険な、異常な状況にあると思いますが、教育長はこの結果をどのように評価されていますか。ご答弁ください。
以上で1問とします。
2問
(LGBTについて)〜ということでした。
そこで具体的に改善を求めます。本市の職員は同性カップルが結婚に相当する関係であっても、結婚休暇や介護休暇などが認められていません。これを認めるべきではありませんか。ご答弁ください。
また昨年8月末、厚労省は性同一性障害の人が日常で使う「通称名」を、国民健康保険証の氏名欄に記載することを認める通知を出しました。私は図書館カードの氏名欄にも通称名の記載を当然認めるべきだと思いますが、市のご見解を伺います。
相談窓口の充実についてです。船橋市では男女共同参画センターが相談を受けるとのことですが、率直に言って知られていません。世田谷区がおととし行った実態調査では、当事者の3割が公共機関で無理解やハラスメントに直面しているという結果です。性的マイノリティが最も避けたいのが役所と病院だと言います。市のほうから積極的に受け入れ姿勢を示す必要があると思います。
渋谷区では月2回の「にじいろ電話相談」、世田谷区では月3回の「世田谷にじいろひろば」として専門の電話相談を行い、両区とも月1回、当事者やそうかもしれないと思う人が交流できるスペースを設けています。行政主催なので安心して参加できるという声があります。
またLGBTに理解がある人、支援者を意味する「アライ」であることを知らせるバッジやPOPをつくり、希望者や事業者に配布しています。
全部ではなくても、船橋市でもこうした事業を可能なものから取り入れるべきだと思いますが、いかがでしょうか。ご答弁ください。
研修についてです。性的マイノリティについての正しい知識の普及は、偏見と差別を無くすにはどうしても必要になります。
厚労省の研究に「学校教育におけるセクシュアリティ理解と援助スキル開発に関する研究」というものがありますが、優れた調査だと思いました。2011年度から12年度、5979人の先生たちが回答しています。
設問の一つ「同性愛は精神的な病気だと思うか」には5.7%が「そう思う」と答え、25%は分からないと答えました。病気ではないと公的に認められたのは90年代で、まだ偏見が根強いことがわかります。
また「性同一性障害と同性愛は同じようなものだと思うか」には5%がそう思うと答え、29.4%が分からないと回答しました。「同性愛者になるか異性愛者になるかは本人の希望によって選択できると思うか」には、38.6%が「そう思う」と答え、32.8%が「分からない」と答えています。性的指向は生まれながらのもので、本人が選ぶことはできません。
教育委員会にお尋ねしますが、今こうした研究結果をお聞きになって、どのように思われますか。ご答弁ください。
私は学校の保健体育や道徳などで性的マイノリティについて子どもに教えることはもちろん、全教職員がLGBTについての研修を受けるべきだと思いますが、いかがでしょうか。ご答弁ください。
またこうした無理解の傾向は教職員だけのものではないと思います。本市では新規採用職員と、係長・班長級以上の職員に行われる研修でLGBTを扱っていますが、市民と最前線で向き合う現場も含め、全職員に性的マイノリティについての研修を行うべきではないでしょうか。ご答弁ください。
この項目の最後に、トイレについて伺います。
身体上も見た目も男性ですが女性の姿をしているトランスジェンダーの方から、トイレに苦労していると伺いました。女性用トイレでは痴漢と思われる恐れがあり、しかし男性用トイレには入りにくい。そのため多目的トイレを常に探すとお話ししていました。
全国では「誰でもトイレ」が広がっています。本市でも公共施設の建て替えや新設時は必ずLGBTに配慮するよう、当事者の意見も聞きながら手立てをとるべきではないでしょうか。
特に教育機関で現状を点検し、速やかに改善を行うことを求めますが、いかがでしょうか。ご答弁ください。
学校の働き方についてです。
文科省は2月9日、教職員の働き方改革について都道府県と指定都市の教育委員会に通知を出しました。そこには「勤務時間の管理は校長や教育委員会に求められる責務」であり、「教師の勤務時間管理を徹底すること」、その管理が管理職や教員の負担とならないよう、タイムカードなどで客観的に把握するシステムを直ちに構築するよう求めています。
本市は来年度、勤怠管理システムの導入を提案していますが、学校現場にもただちに導入するべきではないでしょうか。
また改善したとはいえ、今も市内で6人の教員が足りず、未配置となっています。市費採用を来年度は9人に増やすとのことですが、子どもの学習権を考えれば、ギリギリの状態を続けていいのか疑問を感じます。千葉県に定数増を求めつつ、さらに市費採用を増やすべきではありませんか。ご答弁ください。
以上で2問とします。
3問
LGBTについて、市長にお尋ねします。私は市長が当事者の皆さんと直接会い、懇談し、実態をお互いに知ることが、この問題を前に進める力になると考えますが、いかがでしょうか。ご答弁ください。
また船橋市民のLGBTに関する考えが分からないと所管から伺いましたが、であれば市の様々な調査でLGBTに関する項目を加えるべきではないでしょうか。ご答弁ください。
教職員のタイムカードですが、私は自己申告では実態はつかめないと思いますし、このままでは長時間労働は悪化すると思います。来年度から英語と道徳が教科化されます。「ブラックの中のブラック」だと、教員は悲鳴をあげています。再検討を求めますが、いかがでしょうか。ご答弁ください。
以上で質問を終わります。