8月10日、衆議院第二会館で、全国生活と健康を守る会連合会(=全生連)の中央行動に参加しました。
この中央行動では2017年度の国家予算について、厚生労働省や国土交通省、文科省など各省庁に対し、参加者から直接要望が伝えられました。
(写真上)冒頭にあいさつをする安形義弘会長
(写真上)激励のあいさつをする日本共産党の岩渕友参議院議員(右)。同じく挨拶をした田村貴昭衆議院議員(中央)、辰巳孝太郎参議院議員(左)。
要望は生活保護制度の基準と運用・国民健康保険・介護保険・公営住宅問題・就学援助など教育支援に関することと、熊本地震被害や東日本大震災、原発被災者に関することなど多岐に渡り、全部で50項目が国側に伝えられました。
交渉は各班に分かれて行われ、私は国民健康保険制度と、生活保護制度に関する要望を伝える場に参加しました。
(写真)厚労省の国保担当者に要望書を渡す様子
全生連が提出した、国保に関する要望は以下の通りです。
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1.国保税・料の値上げなどにつながる国民健康保険の都道府県化は実施しないこと。実施する場合は、次の点を国の責任で徹底・具体化すること。
①都道府県化の進捗状況を明らかにすること。
②「保険者支援費」は予定どおり実施すること。支援費は、保険税・料引き下げに使用することを各自治体に指導すること。
2.国保の国庫負担を増額し、国保税・料を引き下げるとともに、減免制度を改善すること。
①厚生労働省が通知した医療費の一部負担金減免制度については、「恒常的低所得者」を含め、国の責任と負担で実施し、すでに実施している保険者の独自制度に介入しないこと。補助は全額国庫負担とし、国の基準以下の自治体は指導すること。
②自治体が行う保険税・料の申請減免と医療費一部負担の減免について、国は干渉せず、少なくとも生活保護基準並みの所得世帯は免除、所得税非課税世帯は減額とすること。また、減免は所得だけでなく生活実態に応じて適用し、資産保有による制限は廃止し、減免分は国が助成すること。
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厚労省側は都道府県化の進捗については、「国保基盤強化協議会で関係者の意見を聞きながら検討中だ。これから各都道府県が、国の示したガイドラインに沿って、国保の運営方針をつくる。そのため国は全国で説明会を開き、アドバイスをしている」と回答。
要望1−②「保険者支援費(今は毎年1700億円。2018年度からは3400億円)は保険料引き下げに使うよう指導を」については、「国保は構造的な課題がある。各自治体で実情に応じて使ってもらう」として、実現には背を向けました。
また、「(保険者支援費は)現時点では続けるが、財政状況に応じるものなので、今後はわからない」「保険料引き下げに使うなとは言ってない」とも答えました。
「国保料は高すぎて払えない」という方が多く、船橋市でも滞納世帯の6割以上が所得200万円以下です(2014年度)。各市町村は一般会計から国保会計に繰り入れをして、保険料を抑える努力をしていますが、国はその繰り入れも段階的に解消するようにと、地方に指導しています。これでは保険料が上がるばかりです。
「保険者支援費を3400億円と、地方の一般会計繰り入れ総額と大体同じにしているが、半分の1700億円は保険者努力支援制度とするため、各自治体に公平に配分される仕組みにはなっていない。このうえ一般会計からの繰り入れを段階的に解消するように指導しているのでは、地方は国保料を上げざるを得ない。こんな指導はやめるべきだ」と発言しました。
要望2−①については「あくまで特別な事情がある人に市町村が適正に実施するものだ。国が補助をするのは財政力のある自治体を応援することになる」と回答。
2−②にも「市町村が判断することだ」として、やはり背を向けました。
現在、医療費の減免制度は急激に収入が落ち、納付が困難なときに限られ、ほとんどの人が使いにくいものになっています。
参加者から「肩を骨折して入院した人が病院から10万円請求されたが、少ない年金ぐらしでとても払えないという事例があった。恒常的に低所得の人にも医療費を減免するべきだ」「低所得の人にはどうしろというのか」と、意見があがりました。
午後からは生活保護制度に関する要望を伝える場に参加しました。
全生連の要望の内容は以下の通りです。
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1.生活保護基準の引き上げと制度の改善を図ること
①当面、住宅扶助、冬季加算の経過措置、特別基準を徹底し、実態に合わせて適用し、転居の強要などの引き下げによる被害をなくすこと。経過措置の終了後も世帯の状況に応じて、期間の延長をすること。
②住宅扶助基準引き下げに伴い、やむを得ず転居する際に原状回復などリフォーム費用が発生した場合、全額支給すること。
③級地を撤廃すること。また、撤廃するまでは当面3級地を2級地に引き上げること。
④猛暑による熱中症などの被害を出さないよう、エアコンを一時扶助で支給すること。また、夏季加算を創設すること。
⑤生活福祉資金が必要な人に対し、制限をせずに利用できるようにすること。
2.資産調査について
①資産申告は、生活保護法第28条や第61条に規定されている「必要な場合」や「変動があった時」に限定し、一律に一年に一回の資産申告の強要をやめること。
②資産申告を求める時は、生活保護利用者に資産保有など制度の説明を十分に行い、預貯金通帳の提出などを強要しないこと。
③2015年11月26日、2016年1月15日の交渉での回答「福祉事務所、ケースワーカーとの信頼関係を損なうことのない運用をしたい」に沿って、「財布の中まで見せろ」「病気の人などに再三再四、申告や通帳提出などを強要」などの人権侵害をしないことを徹底すること。
④資産申告書を出さないことを理由に、指導指示や(生活保護の)停廃止をしないこと。
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この交渉のなかで生活保護受給者には「エアコンの設置費用は支給されない」ことが取り上げられましたが、厚労省側は「エアコンは計画的にやりくりをして買ってもらう。しかし健康上、著しい支障があるならということで、一昨年から福祉資金を借りて買えるようになった」と答えました。
しかしこの猛暑で、政府広報でも「高齢者や子どもは屋内でも熱中症の危険がある」として、エアコンを使うことが推奨されています。
参加者から「暑いならショッピングセンターに行けと、受給者に言うケースワーカーもいた。おかしいのではないか」「一度エアコンなしで夏を過ごしてみてはどうか。同じ暑さで生活できるのか」と怒りの声が上がりました。
夏季加算の創設については「総務省の家計調査によると、夏に光熱費の増額は認められなかった」と実現を拒否しましたが、参加者から「夏はガス代を節約できるからだ」と反論がありました。
私も参加してみて、ひどい人権侵害の実態があると感じました。国家予算も使い方の優先順位を変えれば、社会保障を充実させることはできます。酷い状況を変えるために、今後もみなさんと一緒にがんばりたいと思います。
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