2018年度の船橋市一般会計予算案に反対し、特別会計予算案に対する討論を行いました

23日、船橋市議会の予算決算委員会全体会が開かれ、日本共産党は来年度一般会計予算案に反対し、討論は岩井友子市議が行いました。反対の主な理由は10月からの可燃ゴミ収集回数の削減(週3回→2回)や、小中学校のトイレ洋式化を今年度は1校しか行わない予算になっていること、道路整備費が前年比25%削減となっていることなどです。

また国民健康保険料は一律ひとり1500円値上げし、介護保険料も基準額を月4960円→5300円へと値上げです。介護職員不足の最大の理由である低賃金問題についても、離職を防ぐことのできるような手立てはきちんと取られていません。むしろEPAによる外国人介護福祉士候補生の受け入れを促進する予算をつけ、全体として低賃金に押しとどめるようなものになっています。

その他の特別会計予算案などへの日本共産党の賛否は以下の通りです。討論は市議団で検討し、松崎が登壇して行いました。

 

議案 第2号 平成30年度船橋市国民健康保険事業特別会計予算 反対

議案 第3号 平成30年度船橋市公共用地先行取得事業特別会計予算 賛成

議案 第4号 平成30年度船橋市船橋駅南口市街地再開発事業特別会計予算 反対

議案 第5号 平成30年度船橋市介護保険事業特別会計予算 反対

議案 第6号 平成30年度船橋市母子父子寡婦福祉資金貸付事業特別会計予算 賛成

議案 第7号 平成30年度船橋市後期高齢者医療事業特別会計予算 反対

議案 第8号 平成30年度船橋市地方卸売市場事業会計予算 賛成

議案 第9号 平成30年度船橋市病院事業会計予算 反対

議案第10号 平成30年度船橋市下水道事業会計予算 反対

議案第11号 平成29年度船橋市一般会計補正予算 反対

議案第12号 平成29年度船橋市国民健康保険事業特別会計補正予算 賛成

議案第13号 平成29年度船橋市下水道事業特別会計補正予算 賛成

議案第14号 平成29年度船橋市介護保険事業特別会計補正予算 賛成

議案第15号 平成29年度船橋市後期高齢者医療事業特別会計補正予算 賛成

議案第16号 平成29年度船橋市病院事業会計補正予算 賛成

 

一般会計の討論は近日中にこちらで公開されます。

 

******(特別会計の討論)

議案第2号 平成30年度船橋市国民健康保険事業特別会計予算

反対の立場で討論します。国民健康保険の広域化、都道府県単位化に伴い、被保険者全員が一律に払う均等割(保険料)を1500円値上げすることを含む予算です。値上げの理由は「後期支援分の応能割対応益割を現状7対3であるところ、5対5に近づけるため」とのことですが、国保は社会保障であり、応能負担が原則です。

そもそも1500円値上げしなくても、前年度決算見込みと比べれば12億円も法定外繰り入れを減額できました。値上げによって、4人家族なら年間6000円もの負担増となり、多子世帯ほど負担が重くなります。子どもの貧困問題に取り組むどころか逆行するものであり、言語道断です。

2016年度、本市において被保険者一人当たりの所得は81万8千円、一人当たりの保険料は8万9千円でした。所得の11%もの保険料は異常です。県内他市と比べて安いといいますが、千葉県の平均国保料は全47都道府県のなかで7番目の高さです。

同年度に千葉県商工団体連合会が中小業者を対象に行った、「営業とくらしの実態調査」では、回答者の2割が税金や保険料の滞納があると答えましたが、その5割は国保料を滞納していました。滞納していないと答えた8割の業者についても、無理なく支払っているのは3割に過ぎず、無理して支払っているのが6割です。借金して払っているのが7%です。

国保料が業者も含め、加入者の生活を圧迫しているのは明らかです。

なお1月末時点では、加入世帯の17%が保険料を滞納しています。高すぎる保険料をさらに引き上げれば深刻になりますが、本市は差押えの強化で対応しようとしています。担当課だけでも2016年度、114件、5200万円もの差押えを行っており、これ以上の徴収強化は市民の人権をさらに脅かす恐れがあります。住民の福祉増進という自治体の役割からかけ離れるもので、こうした予算を認めるわけにはいきません。

国民皆保険制度の根幹という役割を果たすことを求め、反対討論とします。

 

議案第3号 平成30年度船橋市公共用地先行取得事業特別会計予算

賛成の立場で討論します。海老川上流域区画整理事業には反対ですが、私たちはあの地域について、乱開発を防ぎ、農地を生かした公園にすべきだと考えます。取得する土地はその用地とすべきであり、そうした考えから賛成します。

 

議案第4号 平成30年度船橋市船橋駅南口市街地再開発事業特別会計予算

反対の立場で討論します。バブル期に130億円もの市費を投入し、無理な市施行の再開発を行った結果、保留床が思うように売れず、赤字の穴埋めとして171億円もの借金をすることになったという莫大な損失を生んだ事業です。

一般会計からの繰り出し金の総額は今年度までで約230億円です。2058年度に保留床を46億円で売却して、市の一般会計に借金を返済するとのことですが、土地と違ってビルは老朽化します。改修しても本当にその価格で売れるかは誰も保証できません。

当時の大手企業や銀行のために税金で儲けを生み出し、市民に負担を押し付けたというのが実態です。こうした事業を容認するわけにはいきませんので、本予算に反対します。

 

議案第5号 平成30年度船橋市介護保険事業特別会計予算

反対の立場で討論します。3年に1回の保険料値上げが提案され、基準額を月340円値上げし、月5300円にすることを含む予算です。高齢者の貧困が深刻さを増す中、全国11の自治体が一般会計からの法定外繰り入れを行っています。本市も繰り入れで保険料を抑制すべきです。

また緊急の課題である特養ホームの増設については、500人を超える待機者がいても来年度から3年間で290床しか増やさないというものです。在宅サービスが不十分なまま施設から在宅へと要介護者を押し流し、「保険あって介護なし」を深刻化させていくのは明らかです。

さらに要支援を保険から外して地区社協などボランティアに担い手を押し付けていきますが、こうしたやり方だけでうまくいくとは到底考えられません。高齢者の尊厳を守る体制をつくるには、本予算では不十分と言わざるを得ません。以上の理由で反対します。

 

議案第6号 平成30年度船橋市母子父子寡婦福祉資金貸付事業特別会計予算

賛成しますが意見をつけます。生活困窮者のなかには人間関係においても困窮に陥っている人が少なくありません。連帯保証人を立てない場合は年1%の有利子貸付としていますが、社会保障である以上、立てられない場合でも無利子とすべきです。また制度の周知に力をいれるよう指摘して、賛成討論とします。

 

議案第7号 平成30年度船橋市後期高齢者医療事業特別会計予算

反対の立場で討論します。高齢者を別枠の医療保険に囲い込み、負担増と差別を押し付ける制度そのものに反対です。

千葉県後期高齢者広域連合は30年度、66億円もの財政安定化基金を活用せず、保険料を一人当たり878円値上げすることを強行しました。また国が制度導入時に批判をかわすために導入した、低所得者の保険料を軽減するしくみである「特例軽減」の撤廃も決められ、今後は際限のない保険料値上げと差別医療の推進が本格化します。

千葉県保険医協会の受診実態調査では、4割強の医師が、患者の経済困窮による治療中断を経験していることが明らかになっています。年金減らしと物価高で高齢者の暮らしが一層厳しくなるなか、受療権を奪うような値上げは許されません。

本市でも22人に短期保険証を発行していますが、経済困窮者からの保険証取り上げはやめるべきです。高齢者の尊厳が守られ、安心して入院治療、療養ができるよう体制を整えることを求め、反対討論とします。

 

議案第8号 平成30年度船橋市地方卸売市場事業会計予算

賛成の立場で討論します。青果物、水産物ともに取扱高は上昇傾向にありますが、水産物においては取扱量そのものが減っています。しかし近隣他市の市場と比べれば努力の跡が見られ、地場産の農水産物を市民に届ける貴重な役割をかろうじて果たしていることを評価します。しかし、さらなる努力を求めます。

次に意見を述べます。第1冷蔵庫棟と関連店舗棟は大地震が起きれば倒壊の恐れがありますが、建て替え後の使用料が高額になるとの理由で使用者の理解が得られず、耐震化の計画がありません。これについて2月13日、包括外部監査人から以下の指摘がありました。

「万が一の場合生命に関わる重大問題である。施設の耐震不足を把握していながら、放置しているのは結果として市の責任も免れ得ない。

使用者の料金への理解が得られないことと、耐震性への対応をすることは別次元の問題である。

最優先は耐震化への対応であり、使用料への跳ね返りの問題は使用者との間で十分協議して、双方納得のいく方法を別途検討することが望ましい。」

その通りだと思います。

全体的に老朽化していますが、長期的な改修・更新計画を策定できていないことについても同様に意見がついています。両方とも早急に手を打つべきだと申し上げて、本予算に賛成します。

 

議案第9号 平成30年度船橋市病院事業会計予算

反対の立場で討論します。繰り返し指摘していますが、市立病院でありながら26の病室で差額ベッド代を取り、医療に差別を持ち込んでいます。自治体病院のそうした姿勢が周辺に与える影響を重く考えるべきです。病院経営が困難だからというのであれば、その原因は国による診療報酬引き下げです。市として引き上げを国に強く要望するよう求めます。

また県の医療計画で指定を受けながら、県が(財政的な)責任を放棄し、県費負担が不十分であることも改善が行われていません。市として公式に知事に対し、改善を求めるべきです。

さらに今年度の救急患者受け入れ率は年間平均74.8%であり、未だに25.2%の受け入れを断っているとのことです。市は市民に対し、良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制が確保されるよう努める義務があります。その点から本予算は不十分です。

医師不足、看護師不足については千葉県に強く改善を求めつつ、本市独自の努力も行うべきだと申し上げて、反対討論とします。

 

議案第10号 平成30年度船橋市下水道事業会計予算

従来から指摘していますが下水道料金に資本費が含まれています。建設費のうち、雨水排水に関する費用は行政が負担すべきです。

なお30年度は公営企業会計に移行しています。下水道は住民にとって必需的な公的財産、公共サービスですが、地方公営企業は独立採算制が経営原則とされています。よって財政援助を受けずに再生産活動を行う圧力が高まりますが、それによって一般会計からの繰り入れを減らし、下水道料金の値上げを行うようなことは、市民生活が厳しくなるなか断じて許されません。

また総務省は民営化への布石として自治体に企業会計化を迫りましたが、民営化は際限のない下水道料金の値上げや、必要な設備更新費の削減に繋がりかねません。公共の福祉増進どころか後退につながる民営化は到底容認できないと申し上げて、反対討論とします。

 

議案第11号 平成29年度船橋市一般会計補正予算

反対の立場で討論します。退職手当のための増額補正などは必要ですが、繰越明許費にマイナンバーカード交付事業が含まれています。私たちはマイナンバー制度そのものに反対です。

マイナンバーは日本に暮らす全ての人に12桁の番号を割り振り、行政や金融機関の手続きに使わせるというものですが、利便性が実感できないこと、手続きの煩わしさ、情報管理などへの不安から、カードの普及は頭打ちです。2015年10月の制度開始から2年経ちますが、カードの普及は全国で人口比1割、本市でも11.76%です。

市民が望んでもいない制度をいくら広めようとしても、危険や矛盾はごまかせません。いったん中止して徹底的に検証し、国民的な議論を行うよう国に要望することを求め、反対討論とします。

 

議案第12号 平成29年度船橋市国民健康保険事業特別会計補正予算

給付費などが当初見込みを下回るための補正と、28年度療養給付費等負担金の清算額等が確定し、超過交付額を返還するための補正です。必要なので賛成します。

 

議案第13号 平成29年度船橋市下水道事業特別会計補正予算

駒込川2号幹線管渠布設事業の継続費について、来年度の国庫補助金が見込みを下回り、一部の事業を31年度に先送りするため、年割額を変更するもので、あとは調整などです。必要なので賛成します。

 

議案第14号 平成29年度船橋市介護保険事業特別会計補正予算

訪問型と通所型の介護保険サービス事業費が当初見込みを上回るための補正です。必要なので賛成します。

 

議案第15号 平成29年度船橋市後期高齢者医療事業特別会計補正予算

保険基盤安定負担金の額が確定したことによる、広域連合への納付金増額分と、過年度の保険料を納付するための補正です。調整のためなので賛成します。※

 

議案第16号 平成29年度船橋市病院事業会計補正予算

国の人事院勧告に準拠した給与の増額改定と、退職者の増加による給与費の補正。また薬品と診療材料の使用量増加により、材料費が当初見込みを上回るための補正です。必要なので賛成します。

 

※日本共産党は、後期高齢者制度そのものには反対しています。

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