【来年度予算案】船橋市が高すぎる国民健康保険料を5,000円も引き上げ

船橋市が今議会に提出した来年度予算案に、国民健康保険料の均等割(医療分)の年間5,000円引き上げが含まれました。均等割は所得の多少に関わらず、原則一律に課せられる保険料です。船橋市では現在、40歳未満と65歳〜74歳は年間35,950円、40〜64歳は年間45,560円です。子どもが3人いるなど世帯人数が多いほど負担が重くなりますので、5人家族なら年間25,000円の負担増となります。

これまでも船橋市は、2018年度からの国民健康保険の広域化・都道府県化をきっかけとして、均等割を2018年度に年間1,500円、2020年度は年間3,000円引き上げました。よって今回の引き上げで合計年間9,500円の引き上げとなります。徐々に増やされていますので実感が湧きにくいのですが、この間の食料品など物価の高騰と合わせ、家計の厳しさが増していきます。回り回って地域経済を冷え込ませる要素にもなります。

船橋市によると、今回の引き上げによる影響額は5億6,000万円です。

同時に国の制度によって未就学児(小学校入学前の子ども)の国民健康保険料が半額となります。市内の対象者数は2,100人で、予算は3,200万円です。この財源は国が2分の1、千葉県と船橋市が4分の1ずつ負担します。船橋市の負担は800万円となりますが、その分は地方交付税によって措置されますので、実質的に船橋市の持ち出しはゼロということになります。

▲国民健康保険料の賦課限度額も3万円引き上げが提案されました。中間層への負担増となります。

会社などでの勤めが続いている方には実感が湧きにくいと思いますが、国民健康保険は保険料の事業主負担がないため、被用者保険と比べて高額になっています。世帯人数や構成、年収により違いますが、協会けんぽ(主に中小企業が加入する公的医療保険)の1.7倍になるケースもあります。国保は「人頭税」と呼ばれる均等割があるため、世帯人数が増えるほど負担がのしかかってきます。なお単身者であっても同様に、協会けんぽや組合健保より負担が重くなっています。

かつては自営業や農業に携わる方の加入が多かった国民健康保険ですが、時代が変わり、無職(年金生活者)や非正規雇用(アルバイトやパートなど)の方の加入が圧倒的多数となってきました。そのため加入者の平均所得も低く、8割は所得200万円未満です(所得未申告者を含みます)。保険料の滞納率は大体15%を前後しています。

下の資料は最近国保年金課に出していただいたものですが、世帯人数が多いほど滞納率が高いこと、あるいは低所得の階層ほど滞納率が高いことが分かります。

国保の収納率の世帯人数別、所得階層別のサムネイル

国民健康保険は、日本の国民皆保険制度の土台です。被用者保険など他の公的医療保険に加入していない方は必ず加入しなければならず、保険料が高いからと言って脱退するなどということはできません。

本来、国保は法律にもある通り社会保障ですから、低所得の方でも払える水準でなくてはなりません。よって高すぎる保険料の引き下げが必要です。日本共産党は国費1兆円を投じて均等割を廃止することを求めています。

現在、国は国民健康保険料を引き下げる方針を持っていません。逆に地方自治体が保険料の上昇を抑えるために独自に行っている「一般会計からの法定外繰入れ」を解消するよう、あの手この手(法定外繰り入れを減らさないと交付金を減らすなど)で仕掛けています。

岸田政権がこういう冷たい方針である限りは自治体が防波堤となって、国保の構造的な問題を緩和するよう取り組まなければなりません。仙台市など一部の自治体では低所得者減免の拡充や、18歳以下の国民健康保険料の負担軽減など、独自の政策を実行しています。船橋市では残念ながら、こうした取り組みが行われていません。

冷たい行政に対して嘆くだけでなく、暮らしの実態を示しながら、国保料の引き下げを求める市民の運動が必要です。ぜひみなさんのご意見やご要望など、私たち日本共産党にお寄せください。国保料の引き下げ実現に向け、取り組んでいきます。

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