船橋市議会で「国葬反対」「(マイナンバーカードの普及に伴う)『現行の保険証』原則廃止の撤回を求める」意見書を提案しました

8月29日、船橋市議会が開会しました。10月4日までの37日間の予定です。

開会後すぐに市長から補正予算90億円や、議案の提案説明が行われました。オミクロン株対応ワクチン接種、「お米券」や燃料費補助などの物価高対策、学校給食第3子以降無償化に向けたシステム改修、教育長の交代、船橋市の公共施設の急激な電気代高騰への対策など、様々な内容が提案されています。

私は日本共産党を代表して2件の意見書について、提案説明を行いました。「安倍元首相の『国葬』実施の中止を求める意見書」と、「『現行の保険証』の原則廃止を撤回するよう求める意見書です。

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▲日本共産党船橋市議団による国への意見書案です

通常すべての議案の賛否を表す議決は閉会日に行われますが、それでは9月27日の国葬に間に合いません。日本共産党は「国葬反対」の意見書案について、先議(先に議決すること)を求めています。

開会日に私が行った提案説明は、以下の通りです。


 

発議案第1号「安倍元首相の「国葬」実施の中止を求める意見書」について、提案説明をいたします。

岸田首相は、安倍元首相の「国葬」を9月27日、日本武道館で行うことを閣議決定しましたが、これは立憲主義に反し、国民の思想信条の自由を脅かすものです。

国葬とは、国家が主催し、国費で行われる葬儀です。日本では1878年に原型が作られて、敗戦まで天皇と皇太后を除いて20人の国葬が行われました。戦局が悪化する中で、国民を戦争に駆り立てるための儀式として行われたこともあります。

戦後は現行憲法の公布とともに国葬令が廃止され、国葬の法的根拠は無くなりました。それにも関わらず強行する動きに、(8月)26日に118人の弁護士グループが「法的根拠はどこにもない」「統一協会の被害拡大に手を貸す」と反対声明を発表し、27日までに東京、神奈川など5つの弁護士会も反対を表明しました。

政府は内閣府設置法を根拠に、国が行う儀式として閣議決定でできる、予備費で行うとしています。これに対して各弁護士会が、それは無理筋だと明らかにしました。

内閣府設置法は各省庁の分担事務を定めた組織法に過ぎず、内閣府に「国の儀式」を開催する権限を与えたものではないこと。

内閣の事務は憲法73条にありますが、その中で国葬が合致する条項はないこと。

「国葬」は多額の予算が必要で、国民の思想信条に関わりうるものである以上、その要件を定めた法規が必要であること。

予備費で行うことに財政民主主義上の問題があること。2億円以上の支出がされますが、憲法は「国の財政を処理する権限は、国会の議決に基いて、これを行使しなければならない」と83条で定めています。

予備費については憲法87条で「予見し難い予算の不足に充てるため」とされています。あくまで例外的な措置であり、災害復旧費用など緊急性のあるものに限られます。

兵庫県弁護士会は「安倍元首相の国葬の実施について、補正予算を組むことなく、予備費でまかなうべき緊急の必要性は見出し難」く、その説明もないと断じています。

市民に弔意の表明が押し付けられることも重大な問題です。

政府は「国民一人ひとりに喪に服することや政治的評価を求めない」としていますが、国葬が近くなればあらゆる場所で難しい問題が持ち上がり、様々な同調圧力が生じると考えられます。

2年前の中曽根元首相の内閣・自民党合同葬では、文科省が全国の国立大学などに弔意を示すよう要請しました。安倍元首相の死亡直後には、山口県、東京都、川崎市、仙台市、帯広市、福岡市、吹田市、三田市の各教育委員会が、公立学校に半旗掲揚を求める通知を出しています。

国葬の実施は、事実上安倍氏への弔意を強制しかねず、憲法19条にある国民の内心の自由を侵害する恐れがあります。

そもそも安倍元首相への政治的評価は国民の中で大きく賛否が分かれており、冷静に判断すべき事柄です。世論調査でも国葬に反対という意見が圧倒的です。戦前の日本に戻ろうという強烈なメッセージを発することにもなりかねません。

このように、あらゆる面で重大な問題点があるため、船橋市議会からの意見書案を提出いたしました。

次に発議案第2号、「『現行の保険証』の原則廃止を撤回するよう求める意見書」について提案説明をいたします。

 政府はマイナンバーカードの健康保険証としての利用を進めるため、来年度から保険医療機関と薬局にオンライン資格確認の導入を義務化し、現行の保険証の原則廃止を目指すとしています。

しかし医療機関からは意見書案にある通り、金銭的、事務的負担が強いられると抗議の声が出されていますし、市民としても現行の保険証の廃止は、マイナンバーカードを強制的に持たされることと同じです。

 政府はマイナンバーカードの利便性を強調していますが、情報は集まるほど価値が高まり、リスクも高まります。保険証だけでなく、マイナンバーカードと免許証などとの一体化も検討されていますが、そういうカードを無くした時の痛手は相当なものです。リスクはできる限り分散しておくべきです。

 そもそもマイナンバーカードは、軽い認知症を患っているなどの方が所持して持ち歩くことをリアルに想定しているとは思えません。今でも詐欺事件が頻発していますが、例えば一人暮らしの高齢者の自宅を訪れた人間が、言葉巧みにマイナポータルのパスワードを聞き出し、その場でログインして税や所得情報を入手する、犯罪に悪用する。そういうことも起こりうることを考えているのでしょうか。

それに対して政府の説明は「自己責任」の一言で終わっているわけです。

だったらそんなカードを持たない自由もあるべきであり、保険証の廃止は最悪の政策です。

健康情報という極めて重要な個人情報の漏洩や、プライバシー侵害を引き起こす危険があるのみならず、新型コロナ禍のもとで業務が膨大となっている医療機関に、新たな負担を強いるものです。多大な問題があることを直視し、中止・見直しを図るべきと考え、本意見書を提案いたしました。ご協賛くださいますよう、お願いいたします。

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