住民税「特別徴収税額決定通知書」へのマイナンバー記載 中核市の17%がとりやめ(今年度)

今年5月から、各事業所に従業員のマイナンバーが記載された住民税の「特別徴収税額決定通知書」が送られています。発送元は従業員が居住する自治体で、船橋市も書留で郵送しました。

しかし中核市の17%、県内市町村の22%が同通知書にマイナンバーを記載していなかったことが分かりました。

 

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マイナンバー制度とは「国民総番号制」と呼ばれるもので、全国民に個別の管理番号をつける制度です。総務省は「社会保障、税、災害対策の分野で効率的に情報を管理し、複数の機関が保有する個人情報が同一人物の情報であることを確認するために活用される」としています。

しかし政府は税・医療・年金・福祉・介護・労働保険・災害補償など、あらゆる分野の情報を一つの番号に紐付けしていくことを想定しています。将来、健康保険証や運転免許証、ポイントカードや金融機関のキャッシュカード、クレジットカードなどとも連携していくことが検討されています。

便利なようですが、個人情報の漏洩リスクがあります。生涯同じ番号を使う限り、漏れた情報が蓄積されていけば、膨大なデータベースを作られる可能性が付きまといます。

こうした番号制度は世界では見直しの動きがあります。日本弁護士連合会によると、「米国の社会保障番号(SSN)がプライバシーに重大な脅威を与えていることは広く知られている」「あらゆる個人情報がSSNをマスターキーとして検索・名寄せ・データマッチング(プロファイリング)され、個人のプライバシーが丸裸にされる深刻な被害が広範に発生している」「SSNの身分証明性を悪用されて、『なりすまし』をされたりする被害も広がっている」とのことで、日本でのマイナンバー導入に反対を表明しています。イギリスでは2006年に導入を決めた「国民IDカード法」が、人権侵害や膨大な浪費が発生する恐れがあるとして、2011年に廃止されました。

住民税の特別徴収通知書にマイナンバーを記載するということは、①従業員の意思に関係なく経営者が従業員のマイナンバーを把握することになり、自己情報コントロール権(情報の自己決定権)が侵害される、②経営者はマイナンバー漏洩防止の安全管理措置を講じなければならなくなる(罰則付き)という点で問題です。そもそも法的根拠もありません。マイナンバーを集めるつもりのなかった事業者からすれば、「罰則まであって大迷惑だ」との声も出ています。

船橋市は今年度、マイナンバーを記載した住民税の特別徴収通知書を52,607件送っており、書留にかかった費用は約1,600万円でした。普通郵便で送ればかからない費用であり、浪費という面でも記載には問題があります。

「一部番号を記載して他はアスタリスク(*)表示」という対応をした自治体もあり、完全に記載した市町村は県内では5割に過ぎませんでした。人権上問題がある上に無駄の多いマイナンバー記載はやめるよう、党として求めていきます。

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