11月20日、船橋バプテスト教会で市民セミナー「メディカルタウン構想のホントの話(主催:有志市民による「ホントの話 実行委員会」)」が開かれました。私も参加し、お話を伺ってきました。
船橋市が進めているメディカルタウン構想は、民間の区画整理事業を核とした総予算634億円(うち船橋市の負担分は558億円=病院整備費437億円、東葉高速鉄道の新駅設置費65億円、区画整理への助成金56億円)という巨額の事業です。※なお市負担金558億円のうち、病院整備費には県補助金が最高10億円ほど、東葉高速鉄道の新駅にも国補助金が少し出る可能性があります。
区画整理については今年3月4日に都市計画決定され、8月末から工事が始められています。
セミナーでは冒頭、主催の方から「この構想を知れば知るほど不安なことが増えている。洪水のリスク、医療センターをハザードエリアに移すリスク、市の税制や福祉の圧迫、希少な生物と緑を失うリスク、責任の所在が不明、などなど」、この間の調査活動を通して「計画を今のまま進めてはいけないと確信した」「私たちが市民のみなさんに知らせるしかないという思いで開催した」と、集会の趣旨が語られました。
最初に「流域治水の会 船橋」さんが事業の全容を解説し、複雑な治水問題をわかりやすく紹介する動画が放映されました。
※YouTubeで公開されています。
「船橋を洪水から救え!vol.2 ―メディカルタウン構想は洪水を引き起こす−」
https://www.youtube.com/watch?v=LDnN6CsqCpY
次に「NPO法人シビルまちづくりステーション」理事長の廣田治さんが「地質・土木から考える」と題し、豪雨が増える時代に遊水地を埋め立てる危険性や、地震時に液状化しやすい超軟弱地盤を開発する危険性、コスト高などについて報告されました。「(船橋市の)洪水シミュレーションも入力条件などが開示されておらず、第三者委員会による検討もされていない。(安全という結果も)信用できない」と訴えられました。
フリージャーナリストの飯沼素子さんは、「メディカルタウンとお金の話」と題して報告されました。開発を担当するゼネコンの(株)フジタは工事の発注元でありながら発注先でもあり、「1社独占状態」だと告発。区画整理の認可権者である船橋市が金額をしっかりチェックする必要があると指摘しました。またメディカルタウンを視野に入れてか、船橋市の「行革」で公共施設の使用料値上げや福祉の削減など、市民負担増の実態があると紹介されました。
東邦大学理学部の非常勤講師で、千葉県の海老川流域懇談会の委員を務める佐野郷美さんは、「環境・生物から見たメディカルタウン構想」と題して報告されました。佐野さんは冒頭、「航空写真で海老川水系を見ると、ほとんどグレー、つまりコンクリートのまちになっているが、一部だけ茶色の場所がある。ここが区画整理予定地と、調節池の予定地だ」と切り出し、現代は人口爆発の影響で急速に生物多様性が失われ、産業革命前と比べ100〜1000倍のスピードで絶滅が進んでいること、開発予定地は動植物について50種を超える絶滅危惧種が生息するエリアであり、残すべきだということが訴えられました。
質疑応答では、「船橋市は大雨対策として、時間70ミリ対応をすると言っているがどういうことか」「飯山満川はどうなるのか」「盛り土はどこから持って来られるのか」「土砂搬入のために10トントラックが3年間、平日は毎日通るというが、可能なのか」「市議会議員たちはこの事業について、どう考えているのか」「医療センターの下のプールは移転後も作られるのか」「医療センターの移転場所は他にないのか」「地盤の悪いところに医療センターが移るのは心配だ。何かあった時、船橋市は入院している人たちをどうするつもりなのか」など、様々な疑問、質問が出されました。
私は今年3月の市議会で、区画整理への助成金や新駅負担金を含んだ、船橋市の一般会計予算に反対した議員は、49人中8人だったと説明しました。日本共産党の5人(岩井友子・金沢和子・坂井洋介・神子そよ子・松崎さち各市議)と、市民民主連合の朝倉幹晴市議、無所属のはまの太郎・今仲きい子各市議です。
加えて賛成した市議の中にも下流域への配慮を述べる議員がいたこと、また治水よりも船橋市の財政負担を気にする議員が多かったことを話しました。
最後に主催の方から「次世代に負の遺産を残さないために」という声明文が読み上げられ、「諦めずに工事の停止と計画変更を市と組合に求めていく。今日のセミナーで感じるものがあれば、ぜひ周りの人たちと情報共有し、行動してほしい」と訴えがありました。
▲市民有志の会の声明文です
▲集会で配布された資料です。
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