海老川上流地区開発の補正予算計上が延期される見通しに

今年の12月議会に関連する補正予算が計上される見通しだった「ふなばしメディカルタウン構想」こと海老川上流地区の土地区画整理事業について、予算計上は来年になる見込みだと分かりました。理由は今月23日開催予定だった船橋市都市計画審議会の延期です。

審議会の延期理由は新型コロナの感染拡大です。船橋市によると「緊急事態宣言が出され、市内でも複数のクラスターが発生するなかで、開催は難しいのではないかと会長からご意見をいただいた」とのことです。私も7月から都市計画審議会の構成委員になりましたので、市から封書でその連絡が来ました。

東京新聞の記事「船橋市長選 「メディカル構想」争点急浮上 過去2回頓挫、今回も課題」(2021年6月17日)

補正予算を計上するには、市の都市計画審議会後に、千葉県の都市計画審議会も開いて、それぞれ開発に関わる都市計画決定をする必要があります。しかし当初8月5日に予定していた市の審議会がコロナで23日に延期、さらに延期が決まり、9月議会後(10月以降)の開催となる見込みです。その後に開く県の審議会も色々と準備がいるので、12月の市議会に予算計上を間に合わせるのは難しいとのことです。

海老川上流地区開発は総額192億円の区画整理事業ですが、このうち少なくとも116億円を船橋市が負担するもので、さらにこの事業費とは別に発生する(しかし事業を進めるためにはなくてはならない)東葉高速鉄道の新駅設置費65億円も市が負担します。(なお駅は50億円との話でしたが、市長選後に15億円増額していたことが公表されました。もっと早く公表すべきです)

つまりこの開発に絡んで、船橋市が181億円を支出することになります。その財源として船橋市は2019年度から「行革」を進め、下水道や国保料、施設使用料など公共料金の値上げ、自治会館維持費用や母子家庭、高齢者、障がい者向けの補助金カットなどを重ね、年間15億円を浮かせるようにしました。市はまだ足りないと「さらなる行革」を進めます。

「結局、開発利益のために住民に犠牲を強いているだけではないか」と日本共産党は追及してきました。コロナ禍ですし、検査拡大など他にいくらでも税金を使うべきところがあるのに、開発優先でいいのかということも問われます。

単に市税の浪費ということだけではなくて、この開発には様々な問題が指摘されています。

  1. 開発予定地が50センチ〜3メートルの浸水想定区域であること。しかもそこに災害医療拠点の市立医療センターを移転すること。
  2. 洪水対策のために区画整理予定地の南に千葉県が造るはずの「海老川調節池」は、地権者の同意が集まらず、今のところ完成の見通しがないこと。区画整理の実施で本町、宮本など下流部の洪水リスクが増す恐れがあること。
  3. 区画整理予定地は湿地帯で、様々な生物の生息地であり、船橋市のような都会に残っている貴重な自然が損なわれること。
  4. 液状化のリスクも高いこと。
  5. 区画整理予定地の地権者の1割が反対している(推定20人ほど)が、土地区画整理は法的には3分の2が賛成すれば実施できるため、最終的に反対者の財産権を侵害する可能性が高いこと(地上げが行われます)。
  6. 当初は新駅前に建てる予定だった市立医療センターの場所が区画整理予定地の最北に移動し、日当たりの関係で1棟の予定が2棟となり、設計がやり直しとなったこと

などです。

個人的には最近私も地球温暖化問題を学んでまして、湿地は温室効果ガスの吸収源であり保全が求められているという話も気になってます。

期せずして補正予算計上が延期となりそうですが、予算審議の前に、より多くの方に問題点を知っていただければと思います。

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海老川上流地区開発の問題点を知らせる、日本共産党船橋市議団のニュースです。ぜひご覧ください。

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