10月24日、船橋生活と健康を守る会(以下、船橋生健会)が船橋市に提出した要望書をもとに、市の生活支援課と懇談しました。要望書のタイトルは「生活保護及び暮らしの充実を求める要望書」で、50項目ほどあります。
▲クリックで要望書のPDFが見られます
船橋生健会はこの間、毎年こうした要望書を市に提出し、懇談を続けてきました。生活保護のしおりやホームページの改善、生活保護まるわかりリーフレットの作成、生活保護の申請者に対する保護開始までの金銭貸付制度の実現、広報ふなばしでの表記改善など、市民や議員とも協力しながら様々な変化を生み出してきました。
▲今回の要望書への船橋市の回答
参加者のお一人は扶養照会について質問。扶養照会とは、生活保護を申請した人や利用者の親族に対して自治体が「この人をあなたは扶養できるか」と問い合わせる手続きのことです。電話や手紙などで行われます。親族との関係が良くない、困窮していることを知られたくないなどの理由で扶養照会をされたくなくて、生活保護の利用を忌避する人は少なくありません。全国生活と健康を守る会連合会(全生連)や日本共産党は廃止を求めています。
▲2024年度の船橋市の扶養照会の実績(2024年度に生活保護の申請があったケースに限る)
しかも扶養照会をした結果、実際に「扶養する」と答えるケースはほとんどありません。船橋市の昨年度の実績(新規の申請に限る)を見ても、1148人のケースに対し、扶養すると回答した人数はたったの4人です。0.34%です。
これを見た参加者の方々が、「当事者としては非常に嫌な、辛い手続きだ。しかも効果がほとんどない。やる意味があるのか」「無駄な事務だ」「効果についての検証はしているのか。どう思っているのか」「1件あたりどれくらいの時間がかかっているのか」と市に質問しました。
市の回答は「実際に扶養に至る率は少ないが、国にやるように言われている」「時間については、面接に一人あたり1〜2時間。その後の会議、連絡、資料作成などに時間を取るが、連絡に要する時間はその人による」というものでした。公務員の貴重なリソースをこういうところに割かせる日本の生活保護行政は、本当に問題だと思います。
イギリス、フランス、スウェーデンでは同居していない人に扶養照会はしないと聞きますし、日本は扶養の範囲も広すぎるとのこと。なんでも家族・親族で支え合いなさいという、日本の家制度の残滓がこういうところにも見られます。
近年、国民の運動で厚労省が「明らかに扶養が期待できない人」には照会しなくて良いと通知を出しましたが、それでも船橋市では申請者の大半に行われていると分かりました。申請したいものの悩んでいるという方は、ご相談ください。
▲船橋生健会の副会長、丸山慎一県議
この他にも住宅問題や学用品、生活保護の利用を促すポスターについて議論になりました。そのご報告は、また後日に行いたいと思います。


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