3月議会で、2022年度船橋市一般会計予算案への反対討論を行いました

船橋市議会は3月25日に閉会しました。日本共産党は3月22日の船橋市議会予算決算委員会で、市長提案の2022年度(令和4年度)一般会計予算案などに反対しました。以下に私が登壇して述べた、一般会計予算案への反対討論を掲載します。

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 議案第1号、令和4年度船橋市一般会計予算案に反対、組み替え動議に賛成の立場で討論に参加します。

 自己責任と弱肉強食の新自由主義路線を突き進む自民公明政権のもとで、貧困と格差の拡大が深刻になっています。日本の相対的貧困率は15.4%、子どもの貧困率は13.5%と、先進国でワーストレベルです。特にひとり親家庭の貧困率は5割と、ダントツに高くなっています。その背景にはアベノミクスの9年間で、資本金10億円以上の大企業の内部留保が130兆円も増え、466兆円にもなり、同じ時期に働く人の実質賃金は年間22万円も減るといった、経済の歪みの拡大があります。

 こうした状況のもと、日本共産党は船橋市に対し、冷たく脆弱な経済を促進する自民公明政権から、市民の命と生活を守り、豊かにする防波堤としての役割を果たすことに全力を尽くすよう求めます。そうした観点のもと、市長提案の来年度予算には賛成できません。以下、理由を述べます。

 初めに財政についてです。

 今年度に船橋市が公表した財政推計では、来年度から実質単年度収支が毎年40億〜80億円の赤字となるとされていましたが、一転して財政状況が好転し、公共施設保全等基金を72億円新たに積み、なお固く見ても今年度決算で財源調整基金は147億円を維持できるといった見通しが示されました。

 これは自然に積み上がったのではなく、2019年度からの「行財政改革」という名の市民いじめによって、年間15億8000万円もの市民負担増と福祉削減が行われ、来年度からはさらに、国保料の値上げで年間5億6000万円もの財源を生み出すことで積み上げるものです。つまり市民に犠牲を強いて、痛みを押し付けたからこその財源であり、これにより2030年度までの海老川上流地区開発への浪費の継続を可能としました。

 日本共産党はいい加減な推計を振りかざして市民を脅し、大企業の開発利益を生み出す財政運営だと批判してきましたが、その通りの結果となりました。市民いじめでつくった財源を開発利益や、税金でPayPay利用者の増加を後押しし、キャッシュレス決済事業者の手数料収入・収益増加へ注ぐといった、公平性に欠ける姿勢は改めるべきです。

 総務費について申し上げます。

 (3月)18日、ノルウェーで米軍のオスプレイが墜落し、四人の米兵が死亡しました。陸上自衛隊木更津基地には9機のオスプレイが配備され、周辺人口100万人と言われる習志野演習場でも訓練が行われようとしています。危険なオスプレイを市内で飛ばすなと国に強く要望すべきです。また住民を監視し、私権を制限する土地利用規制法への協力は一切すべきではありません。

 ロシアのプーチン大統領はウクライナ侵略において、攻撃されたら核兵器を使うと世界中の国々を脅しています。いよいよ人類と核兵器は共存できないと明らかになりました。船橋市が平和都市宣言をしている自治体として、日本政府に対し、今こそ核兵器禁止条約に参加せよと声を上げるよう求めます。

 総人件費の抑制のもと、保健所に応援を送る本庁内でも労働強化、長時間労働が発生し、職場は疲弊しきっています。実態に合わせて職員を増やすべきです。生活支援課では1月、新型コロナのクラスターが発生し、全職員が濃厚接触者となりました。このことにも象徴される劣悪な職場環境の改善は急務です。

 IS値が低く浸水想定区域にある消防局の建て替え・移転の予算がありません。救急隊の更なる増隊など、市民の命に直結する事業の実施が急がれます。

 船橋市は、「市民文化ホール」や「きららホール」への指定管理者制度導入の検討を進めるとしました。人件費と職員待遇の大幅な低下とともに、施設の役割が公共ではなく民間の利益追求へと転じることが避けられなくなります。直営を維持すべきです。

 自治体DX、デジタル化は便利になる反面、住民が自らの個人情報をコントロールする権利保障がこの国で極めて脆弱なもと、中国のような監視の強化、プライバシーの侵害が進む恐れがあります。船橋市は問題意識を持ち、個人情報を保護する仕組みを強化すべきです。

 民生費についてです。

 「行財政改革」により引き続き市民への負担増や福祉の後退が行われています。国民健康保険特別会計への繰り出しを削減し、国民健康保険料については一人あたり5,000円もの大幅な値上げを行うこと、月9,000円を支給していた母子家庭等高等学校等修学援助金を廃止すること、老人クラブ等自動車支援事業費など市民活動に使われていたバス事業を統合し助成額を引き下げることなど、福祉の後退は明らかです。

 新年度の保育所入所1次判定では、920人に不承諾通知が出されています。にも関わらず新年度の認可保育所は定員60人のものを1か所整備するだけで、小規模保育所の整備も2か所、計38人分のみであり、著しく少ないものです。待機児童の数に全くふさわしくありません。

 また、育休明け、産休明けから小学校に入学するまで、保育にふさわしい環境を継続的に提供するのが児童福祉のあり方です。ところが2歳までの小規模保育事業を拡大し、3歳からはまた別の施設に通わせる。保育所としての認可基準も満たさない幼稚園の一時預かりを増やし、保育所のかたがわりをさせています。小規模保育事業所が幼稚園のお迎えを行う子ども送迎センターの委託費が計上されましたが、3歳で別のところに通わなければならないことが前提になっています。本市の保育水準がどんどん後退し、子どもや保護者が犠牲になっています。

衛生費についてです。

 新型コロナ対策を担う保健所では残業時間が過労死ラインを超える職員が続出し、ひと月で200時間に迫る者もいます。過重負担が明らかであるにもかかわらず、感染の波は一時的なものだとして、職員の増員を行おうとしません。すでに2年を経過しており、本市の健康危機管理の体制にかかわる問題です。

 地域保健法ガイドライン(地域保健対策の推進に関する基本的な指針)では、保健所設置市の要件を人口20万人と定めています。その趣旨から言えば、本来本市には3カ所の保健所が必要です。船橋市は「出口が見えない」という保健所職員の悲鳴に応え、公衆衛生の基盤を再構築するため、国に「保健所の統廃合路線を転換せよ」「職員の抜本増のため国費を投入せよ」と声を上げていくと同時に、市独自に保健所で増やした職員を定員化し、正規職員を恒常的に増やし、体制を厚くすることで、住民の命を守るべきです。

 また臨時交付金を活用し、高齢者施設で働く人などへの無料、頻回のPCR検査を抜本的に拡充し、学校や病院でも実施するよう求めます。

 温暖化対策として、太陽光発電システム設置の県補助がなくなり、市独自の補助事業が新設され、対象も新築にまで広がった事は評価します。しかし、これまでと同様に、年度内でも予算に達したところで、受付を打ち切るとしています。ここ数年は申請件数が多く、年度内に受付を打ち切った年が続いています。新年度からは市独自の事業となることから、温暖化対策に本気で取り組むのであれば、申請は全て受理する事が求められます。

 南部清掃工場と北部清掃工場の廃棄物発電により、得られる余剰電力の売電量が増えています。しかし本来進めなければいけないプラスチックゴミの分別が遅々として進んでいません。「国や県が進まないと、市だけの問題ではない。国や県の様子をみていく」など、回答にも進展が見られません。環境問題、温暖化対策として、焼却ごみを減らすという市の姿勢が問われています。

 労働費についてです。

 一年前に「勤労市民センターの自動ドア化」が陳情で上がった際には、共産党と他1会派のみの賛成で不採択となりましたが、新年度、エントランスドアが整備され自動ドアになります。エレベーターの手すりやミラー設置も合わせて整備されることは評価します。しかし、バリアフリー化を進めると言いながら、段差が残され、車椅子で使用できるトイレは1階と地下2階にしかないなど、まだまだ整備が不十分です。引き続き早急に館内のバリアフリー化を進めることを要望します。

 土木費についてです。

 海老川上流地区開発の市負担金、駅設計費が初めて計上されました。この開発は、①ハザードエリアに医療センターを移転し大規模住宅地を造る、②192億円の事業費のうち6割は船橋市が負担し、70億円にも上る駅の設計・建設費も全額市が支出するといった異常な厚遇ぶり、③組合設立認可までの手続きが脱法的であるなど様々な問題があります。しかし最大の問題は、遊水地に45万立方メートルもの盛り土をして海老川下流域に洪水を引き起こす恐れがありながら、船橋市が見て見ぬふりをしていることです。住民への著しい人権侵害です。

 船橋市は盛り土の危険性について一言も触れません。市長は市政執行方針で「自然災害に対する危機感を常に市民の皆様と共有するとともに(略)災害に強いまちづくりに取り組む」と述べながら、極めて矛盾しています。

 また遊水地への盛土が行われることを認識していながら、「海老川は県の管理だから」と独自の判断をしようとしない本市の姿勢は無責任そのものであり、その主体性が厳しく問われます。千葉県と責任を押し付け合うような現状を一刻も早く改め、流域治水を名ばかりのものとせず、洪水を防ぐ取り組みを本気で進めるべきです。

 船橋市都市計画マスタープランの策定は、庁内での議論内容を公表し、まちづくりに住民の意思を反映させるため、公聴会を開くべきです。

 古い公園のトイレ改修、前原5号踏切など危険な踏切の拡幅、下総中山駅北口の自転車問題の解決など、安全で快適なまちづくりが望まれています。必要な予算を投入すべきです。

 教育費についてです。

 まず学校教育についてです。ICT支援員、スクールソーシャルワーカーの増員については一定の評価をしますが、まだまだ充分であるとは言えません。コロナ禍で様々な悩みを抱える子どもたち、そして子どもたちと向き合っていく教職員を支えるためには支援員などの増員が必要です。発達障害などがある児童生徒を支えるための支援員についても配置の明確な基準がなく、予算では増員されたとは言え、まだ足りていないと考えます。また、スクールソーシャルワーカーについては校長からの申請がなければ動かないという仕組みは改めるべきです。

 来年度は男女混合名簿の導入を急ぐべきです。3月20日の東京新聞によると、東京都内の区市町村と首都圏6県の政令市・中核市の68自治体において、小学校では平均93.2%、中学校では平均74.7%が男女混合名簿を導入しています。ところが船橋市は小学校1.8%、中学校0%と、著しく遅れていることが報道されました。

 世界経済フォーラムのジェンダーギャップ指数で、日本は153カ国中120位だが、その国内でも著しく下位に船橋市があるとは恥ずかしいことです。子どもや教職員の目に日々触れる出席簿は、ジェンダー平等教育の土台と指摘されています。男性優位、女性劣位を潜在意識に植え付ける名簿のあり方は有害であり、大至急、是正するよう求めます。

 給食調理業務の委託化を進めていますが、災害時の対応、不安定な非正規雇用を広げる事などを考えると直営にすべきです。生理の貧困対策についてはカード方式ではなく、トイレの個室に生理用品自体を設置すべきです。

 公民館の改修工事については、市民への影響を最小限にするために工期短縮の努力を求める。特に葛飾公民館と海神公民館は隣同士であり、同時期の工事による休館は地域サークルなどの市民活動、社会教育活動、高齢者の健康にも大きな支障を与えます。この間、普通建設事業費を極端に抑えてきた結果、このような事態を招いたのであり、休館中の代替施設を用意することを強く求めます。

 日本共産党の組み替え案は、国民健康保険料の引き上げを中止すること、子育て世帯を支えるために学校給食費の第三子以降の無償化、子どもの医療費助成を18歳まで拡大、学校の個室トイレに生理用品を設置すること、教員の多忙化解消を目的としたスクール補助員制度の創設、高齢者に対する補聴器購入費助成金の対象拡大と上限額の5倍化、財政状況を不透明にする公共施設保全等基金の取り崩し、無駄で無謀な海老川上流地区開発の中止といった内容です。

 これらは本市の恵まれた財政力を生かし、コロナ禍の危機的状況のもとで住民の生活を応援し、より豊かにするための提案です。とりわけ学校給食の一部無償化は千葉市、市川市、成田市など県内各地で広がり、船橋市の遅れが顕著になっています。早い段階で独自の無償化に踏み出すべきです。

以上を指摘し、原案反対、組み替え動議賛成の討論とします。

組み替え動議(議案第1号)のサムネイル

▲日本共産党の坂井洋介市議が提案し、共産党が賛同者となった組み替え動議です。

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