「三番瀬を守る連絡会」による第2東京湾岸道路計画の聞き取りに参加しました

3月15日、「三番瀬を守る連絡会」が千葉県庁で国交省・関東地方整備局や県から、三番瀬を横切る第2東京湾岸道路の計画について聞き取りを行いました。

三番瀬(さんばんぜ)とは東京湾の最奥部に残された、船橋・習志野・市川・浦安市に囲まれた約1,800haの干潟、海域です。(三番瀬ってどんなところ?〜ふなばし三番瀬海浜公園・環境学習館のwebサイトへ)

第2湾岸道路とは1993年に千葉県が計画を発表した、三番瀬埋め立てが前提になった道路です。自然破壊を防ごうと環境団体が中心になって反対署名を30万筆集め、世論に訴えるなどして運動が盛り上がった結果、計画は凍結され、実現していません。

ところが昨年3月の国土交通省の会議で急浮上し、今年1月17日、森田健作知事が国に第2湾岸道路の早期具体化を要請。石井啓一国交相は建設に向けた検討会を設置すると応じました。

これを受けて「三番瀬を守る連絡会」は2月4日、国交省に計画中止を要請。千葉県の昔の想定より交通量は減少しており、道路改良で渋滞が緩和された事例があることも指摘し、「莫大な借金を抱えるような大型道路は必要ない」と訴えました。(日本湿地ネットワーク・JAWAN通信No.126、丸山慎一県議の「がんばり通信」No.418より)

3月15日には、7日に関東地方整備局と千葉県、東日本高速道路(株)や首都高速道路(株)などが行った「第9回千葉県湾岸地域渋滞ボトルネック検討ワーキンググループ」の中身と、今後国が設置する第2湾岸道路(国は「機能軸①」と呼称)の検討会について聞き取りました。

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国側は外環開通に伴って周辺の渋滞は緩和されたものの、「外環から東側の国道357号では交通量が増加傾向にあり、渋滞を減らすには新しい道路ネットワークが必要である」「規格の高い道路ネットワークの検討にあたり、地元が中心となって、機能軸①では『(仮称)湾岸地区道路検討会』を設置し、周辺の開発計画や環境などについて十分配慮した検討を進める」などと説明しました。

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質疑では次のようなやりとりがありました。

  • 機能軸②③は既存道路の検討か(答 これから検討していく
  • 臨港道路との関係は(答 国で整理して検討する
  • 狙いは渋滞緩和というが、外環ができたら交通量が増えるのは分かっていたことだ。目標値をどこに持っていくのか(答 事業の効果はしっかり抑えないといけないと認識している。目標は現状の改善
  • 事業完了まで10年も20年もかかる。進出企業に意向調査をしているのか(答 経済同友会から要望が来ている
  • 進出企業への意向調査は(答 していない
  • 塩浜の「外環開通に伴う周辺道路の交通状況」と「外環開通後の国道357号の交通状況」は、なぜ結果が矛盾しているのか。(答 日付の違うデータを使っている。前者は2018年6月5日(火)、7月3日(火)、9月6日(木)の平均値。後者は6月3日〜30日の一ヶ月

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  • データは短期間のものを使わないでほしい(答 都度更新していく
  • 機能軸①は三番瀬海域を通るのか(答 終点、ルート、構造など、これから環境に十分配慮しながら検討する
  • 外環道の高谷インターと繋ぐのか(答 今後検討する
  • 三番瀬を通さないでもらいたい
  • 渋滞は一過性の問題かもしれない。長期的に見て本当にこの事業が必要かを見るべきではないか(答 それを今後、国交省が中心になってやっていく
  • いつから始まるのか(答 検討中。すぐに着手できるように動いている
  • 検討会のメンバーは誰か(答 検討中
  • 三番瀬は東京湾の最後の干潟であり、残すことを課題に入れるべき。20年後の人口や交通量がどうなるのかを考えると過大な計画だ。
  • 若松の交差点は道路改良で渋滞が緩和された。そうした面を活かせばいい
  • コストパフォーマンスが考えられていない。検討会では環境への悪影響についても話し合ってほしい
  • 検討会に環境の関係者を入れてほしい
  • 2月に国交省と交渉した際、国交省は「三番瀬をつぶそうとは思っていない」と回答した(答 当然、上部機関の決定には従う
  • 千葉県の資料では「第2湾岸道路」とはっきり入っているが、国の資料にその言葉が入っていないのはなぜか(答 そうした構想があったのは認識しているが、今回のは新たな計画。結果的にはそうなるかもしれないが、あくまで機能軸①である
  • 私たちも(渋滞緩和という)目的は同じだが、道路改良でやってくれと言っている。印象を変えるためにあえて「第2湾岸道路」という言葉を使っていないのではないか(答 私どもで決めることである
  • 検討会は知事の要請がきっかけでつくるのではないか
  • この検討会以外に別のものは立ち上がらないのか(答 現時点ではそう
  • 検討会のメンバーは誰が決めるのか(答 上に相談しながら決めていく
  • 事業決定はどこの段階でやるのか。事業化されると必ず進む。環境アセスメントをやるにしてもそれで止まったことはない。事業化の前に環境部門と検討しなくてはならないが(答 検討会は機能軸①を掘り下げていく場であり、その後の事業化は別の話である
  • しかし終点などが決まれば事業化が進んで行く(答 意見は上部機関にも伝えていく
  • 船橋市や習志野市など、自治体も検討会に入れてほしい(答 検討する

今回の聞き取りには日本共産党の丸山慎一県議、椎葉かずゆき・党中央委員、浅野ふみ子・党県副委員長、斉藤和子前衆院議員も参加しました。

終了後、丸山県議は「進出企業の意向調査もなく、建設ありきの計画。データの取り方もおかしい」と批判。

椎葉さんは「中長期的に見てこの道路が必要なのかという大元の質問にその通りだと思った。自然を守り、無駄遣いを許さない立場でがんばりたい」、浅野さんは「開発は100年から200年先の環境も考えなければいけないし、人類が無責任ではいけないと思う」、斉藤さんは「今後も監視していきたい。改めて三番瀬のラムサール条約登録をめざしたい」と語りました。

一時の儲け追求のために数千年も人類に親しまれてきた自然が失われるのはもったいないことです。私もラムサール条約の登録をめざしてがんばりたいと思います。

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