生理休暇の現実から見えるジェンダーの問題 船橋市の取得率も1%

ジェンダー

これはブログに書きたいと思いながら幾日も過ぎてしまいましたが、9月の船橋市議会で、生理休暇の取得率について改善を求めて取り上げました。今年何回か、日本共産党の機関紙「しんぶん赤旗」に、生理休暇のことが取り上げられていたことや、党市議団の会議での話題になったことがきっかけです。

目で見る経済 減る生理休暇の請求率(しんぶん赤旗)

これによると、2020年度に生理休暇を取得した女性労働者の割合はわずか0.9%です。実は私も民間企業で働いていた時、残念ながら生理休暇を取得したことがありません。というか、労働基準法に取得が権利として定められていたことさえ、つい最近まで知りませんでした! 恐ろしい。かといって生理が軽いわけでもなく、20代〜30代の頃は特に月経前症候群が重かったので、この制度を知っていたら、同時に生理休暇が取りやすい職場だったら、と思わずにはいられません。今もそう思っている「生理のある人」が大半であろうことは想像に難くありません。

議会で取り上げる前に、船橋市に2022年度の生理休暇の取得状況を調べていただきました。

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御多分に洩れず、船橋市でも生理休暇を取得した女性労働者の割合は1%程度でした。医療センターでは844人もの女性が働いているのに、取得はお一人だけです。医療現場なら科学的な観点で取得してそうと勝手に思っていたので、これは衝撃でした。

私は10月4日の予算決算委員会全体会でこの話を取り上げ、市に「国立市のように外部講師を招いた生理研修をすべきだ」と求めました(そんな研修が日本にあったことを質問前日に知り感動していました)。総務部長が「そういった部分については調査をしながら、周知と併せて検討を進めたい」と答弁されたので、実施されるよう見守りたいと思います。

また会計年度任用職員については、船橋市では生理休暇は無給です。全国では2割の自治体が有給にしており、休めば休むほど給与が減るような不平等な仕組みは改めるべきだと主張しました。こちらは総務部長は「国や近隣自治体も無給だ」と回答されましたが、恐れず先進市になっていただきたいものです。

以下にこの時の議事録をご紹介しますので、ぜひご覧ください。(ちなみに実際は「ですます」調で話していますが、なぜか委員会の議事録は「である」調です)

ーーーーー議事録ーーーーー

◆松崎さち 委員 続いて、人件費、生理休暇についてお伺いをする。
総務分科会で昨年度の実績について、日本共産党の岩井議員から質問し、市長事務部局の女性1,506人──正規職員である。昨年4月1日時点だが、このうち、生理休暇を取られたのは35人というご答弁があった。僅か2.3%である。私も文教分科会で市立船橋高校の実績を伺って少ないと思ったが、もっと少ないなと。本市全体ではどうだったのか。また、正規の方だけじゃなくて、会計年度任用職員の方々はどうだったのか。市長事務部局、教育委員会、消防局、医療センター、それぞれ実績をお伺いする。ご答弁いただきたい。
[総務部長登壇]

◎総務部長 市長事務部局の常勤の女性職員数だが、ただいま議員のほうからご指摘があったとおり、令和4年4月1日現在で、市長事務部局のほうで、女性職員が1,506人いる。そして、令和4年度中に生理休暇を取得した職員というのが実人数で35人となっている。
また、会計年度任用職員だが、こちらのほうは、週の勤務日数が2日や3日といった少ない職員もあくまで1人としてカウントしているので、あくまで参考値となるが、令和4年4月1日現在で、市長事務部局において、女性職員のほうは2,410人である。そして、令和4年度中に生理休暇を取得した職員というのが、実数で21人となっている。
[管理部長登壇]

◎管理部長 令和4年度教育委員会の常勤の女性職員数は、4月1日現在で246人である。そのうち、令和4年度中に生理休暇を取得した職員数は実人数で6人となっている。
次に、教育委員会の会計年度任用職員だが、総数については、先ほど総務部長からの答弁があったとおり、週の勤務日数が2日や3日など少ない職員も1人としてカウントしているので、あくまでも参考値となるが、4月1日現在で、女性職員は1,073人である。そのうち令和4年度中に生理休暇を取得した職員数は、実人数で6人となっている。
[消防局長登壇]

◎消防局長 令和4年度の消防局の常勤職員数は、令和4年4月1日現在で693人、これに対し、女性職員は24人だが、生理休暇を取得した職員はいない。
次に、令和4年度の会計年度任用職員は、令和4年4月1日現在で該当者は1人であったが、生理休暇は取得していない。
[副病院局長登壇]

◎副病院局長 令和4年度医療センターの常勤の女性職員数は、4月1日現在で622人である。また、令和4年度中に生理休暇を取得した職員数は、実人数で1人となっている。
次に、令和4年度医療センターの会計年度任用職員だが、4月1日現在で、女性職員数は222人である。また、令和4年度中に生理休暇を取得した職員はいなかった。
[松崎さち委員登壇]

◆松崎さち 委員  労働基準法の68条により、働く人々には雇用形態を問わず、週何日とか問わず、生理休暇の取得が認められている。生理痛、月経前症候群には、重い軽いの個人差があり、取得日数の上限もない。
しかし、本市全体では、今あったが、女性職員が6,104人いらっしゃるわけだが、生理休暇を取られた方の実人数はなんと69人。取得率は1.1%。特に女性の会計年度任用職員で3,706人に限れば、取得率は0.7%と非常に低くなっている。正規職員の方々もそれより多いとはいえ、1.75%と決して高くない。この結果について、本市がどのように評価をされているのか、原因をどう捉えているのか、お伺いする。
[総務部長登壇]

◎総務部長 生理休暇の取得については、今、委員からお話もあったが、人によって状況が異なるものであり、また、様々な休暇制度の中から、どの休暇を取得するかについても職員が選択するというものである。
結果について、一概に評価を申し上げるというところは難しいところではあるが、厚生労働省が令和2年に民間事業所を対象に行っている雇用均等基本調査においても同様に、近年では1%に満たないという状況も報告されている。
本市も同様の傾向が見られると考えているが、この休暇については、働く女性の保護のために制度化されているものである。働きやすい環境をつくるための休暇制度の1つとして、取得促進ということでは制度の周知を引き続き図ってまいりたいと考えている。

○委員長(日色健人) 松崎委員申し訳ない。時間回す前に、今のテーマのご質問終わったところで、休憩取ってもよろしいか。
[松崎さち委員「はい」と呼び、登壇]

◆松崎さち 委員  周知を引き続き図りたいということだが、これまでどおりのやり方だと、これまでと同じだと思う。
確かに、全国が1%に満たないのはそのとおりで、著しく下がっているわけだが、そういうことで問題意識持って調査が全国ではされている。
日本医療労働組合連合会女性協議会が昨年10月27日に調査をした。生理のときに鎮痛剤を毎回飲む、時々飲むという回答は、全体の76.3%。生理休暇を取らない理由で最も多いのは、周りが誰も取っていない、43.9%、そして、説明がない、制度を知らなかったなどの記述もあったとのことである。実は、私も深いところまでは知っていなかった。
市内では、女性職員はみんな気軽に、生休取るねと毎月取って元気に働いている、そういう病院もある。本市の医療センターは、844人もの女性が働いているのに、何と取得がたった1人、どれだけストレスがあることかと感じる。
総務分科会では、母体保護の観点から取得の増加を検討課題としたいとご答弁もあり、それは本当に歓迎するところだが、そもそも体が不調で疲れ切っていたら、人間以外の動物だって休む。生理休暇が取りやすくなるよう、国立市では、職員を対象に外部講師を招いた生理研修が行われた。女性職員が僅かである消防署でも全国では行われた例がある。
昨年度の1.1%、この取得率を踏まえて、本市でも研修をする。そうした対策もすべきだと思うが、ご見解をお伺いする。
[総務部長登壇]

◎総務部長 休暇の取得に当たっては、現在、勤怠管理システムの導入により、手続上は所属長へ直接請求できるという形で取得しやすい手続にはなっていると思っている。
また、周知の話だが、新年度が始まるタイミングなど、休暇制度については通知、あるいは手引によって全庁的に周知をしている。そういったものの工夫をするということと、今、先進事例で研修を行っている自治体もあるという話なので、そういった部分については調査をしながら、周知と併せて検討を進めたいと思う。
[松崎さち委員登壇]

◆松崎さち 委員  研修について、調査しながら検討したいという前向きなご答弁いただいたので、ぜひやっていただきたいと思う。
20代・30代の職員の離職率が高くなっているとお伺いしている。若い人にとって魅力ある職場になるよう早い取組を求めて、このテーマは終わる。

○委員長(日色健人) 松崎委員の質疑の途中だが、ここで、会議を休憩する。
12時09分休憩
13時10分開議

○委員長(日色健人) 休憩前に引き続き、会議を開く。
松崎さち委員の質疑を継続する。
松崎委員。
[松崎さち委員登壇]

◆松崎さち 委員  最後に、会計年度任用職員のことでお伺いをしたいと思う。待遇の改善を求めるものである。
先ほど生理休暇について取り上げ、そこで取得率が0.7%という実態を明らかにしていただいた。そもそも市役所の業務は女性に支えられているなと、人数を見ていると感じる。
今回伺った市長事務部局、教育委員会、消防局、医療センターのみに限るが、特別職、四市派遣職員を含まない9,363人の職員のうち、女性は6,104人、65.2%にも上っている。非正規である会計年度任用職員の割合は、男性は16.4%だが、女性は60.7%にも上っている。
この会計年度任用職員の女性たち3,706人、この中でなぜ生理休暇の取得率が昨年度0.7%だったのか。正規職員は1回の生理につき、2日間有給の生理休暇が認められている。しかし、会計年度任用職員は有給ではない。無給である。休めば休むほど給料が減っていくわけである。今、物価高騰なので、ただでさえ生活がきついところ、有給の生理休暇さえ保障されていないと。こういう状態というのは、端的に言って差別ではないか。
2020年4月に同一労働同一賃金法が施行している。雇用形態の間の不合理な待遇の差や差別的取扱いを禁じている。正規職員にある有給の生理休暇を、会計年度任用職員には認めないできたと。これを差別だということを市は認識されているのかどうかご答弁いただきたい。
[総務部長登壇]

◎総務部長 会計年度任用職員の生理休暇が無給ということについてだが、地方公務員法の規定では、職員の勤務条件を定めるに当たっては、国及び他の地方公共団体の職員との間に権衡を失しないよう適当な考慮が払われなければならないとされているところである。国、そして千葉県や千葉市をはじめ、近隣自治体では無給の特別休暇として取り扱っているところである。本市においても法の趣旨にのっとり、申し上げた国や近隣自治体と同様に無給の特別休暇としているところである。
[松崎さち委員登壇]

◆松崎さち 委員  近隣では無給だということだが、総務省の調査を私、拝見した。昨年の4月1日現在、会計年度任用職員の生理休暇を有給にしている自治体がある。1,788の自治体のうち、417自治体だと。23.3%に上っている。まだまだ少ないが、こうやって差別をなくそうというところがあると。
今のお答えからは、昨年度の会計年度任用職員の生理休暇が0.7%の取得率であったということについて問題視されてないのかなと、そういう印象をうかがえたが、改善すべきと思ってはいらっしゃらないのか、お伺いする。
[総務部長登壇]

◎総務部長 会計年度任用職員の取得の割合が低いということだが、先ほどもご答弁のほうで申し上げたが、あくまでも会計年度任用職員の総数については、週当たりの勤務日数が少ない職員も1人として総数に含めているので、その割合を一概に常勤職員と比較はできないと認識しておるところである。
ただ、人数的には少ないということは承知しているので、そういった部分も周知については努めてまいりたいと考えている。
[松崎さち委員登壇]

◆松崎さち 委員  そうは言っても、週5日フルタイムに近く働いていらっしゃる会計年度任用職員の方々もたくさんいらっしゃるわけだから、一概に低くて当たり前とはとても言えないなと感じる。
体の仕組みが別に会計年度任用職員になったら変わるわけでもないので、やっぱり明らかな差別ではないかなと思うし、有給にすべきだということを申し上げたいと思う。
最後に、会計年度任用職員の賃金についてお伺いをしたいと思う。昨年度もこれまで同様、放課後ルーム、保育の職場などで人手不足が一層問題になってきた。現場からは悲鳴が上がっているところである。こういう人手不足が問題になる職場は必ずと言っていいほど、仕事に見合った賃金が保障されていない。きつい物価高騰の下で私たち日本共産党は公務職場で最低でも時給1,500円を確保すべきだとこの間訴えており、この船橋市でも同様に実現すべきだと考える。公務職場でやることは民間に波及をしていく。そのことを考えても率先して賃上げをすべきだと思う。
昨年度までの人手不足、この解決をしていくためには、待遇を抜本的に会計年度任用職員の皆さん抜本的に待遇を引き上げる、この必要性があると認識されているか、お伺いする。
[総務部長登壇]

◎総務部長 会計年度任用職員の報酬だが、地方公務員法に規定する職務給の原則、あるいは均衡の原則等に基づき定めるということとされている。
また、従事する職務の内容、近隣との均衡を踏まえ、職種ごとに時給単価を設定しているというところである。
ご質問の時給単価を1,500円、最低でも1,500円にということだが、申し上げた地方公務員法の規定、あるいは国が示す会計年度任用職員の事務処理マニュアルを踏まえて現行の時給単価の設定を引き続き行ってまいりたいと考えているし、適正な報酬水準となるよう今後も対応してまいりたいと考えている。
また、人員不足ということについては、これについては、採用の募集とか、あるいは各種の取組について引き続き推進を図ってまいりたいと考えている。
[松崎さち委員登壇]

◆松崎さち 委員  人員不足について、今までどおり募集するということだが、募集したからといってみんな低賃金に納得するわけがないので、ここはもうこの物価高騰なので、やはり踏み切るべきだと思う。
病院のローンには総額807億円、海老川上流開発には総額921億円も市関係で支出を決めておきながら、働く皆さんの人権保障には無関心、こういう船橋市の不見識が改めて明らかになったと思う。こうした姿勢を抜本的に変えるべきだと申し上げて終わる。

 

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