12月議会で、一般会計補正予算案の反対討論を行いました

一昨日21日、12月議会が閉会しました。(すっかり更新がご無沙汰となり、すみません。)

今回の議会では、海老川上流地区の区画整理(メディカルタウン構想)の事業費が当初の158億円から192億円と大幅に増え、市の負担が現時点で少なくとも166億円(区画整理の負担56億円+新駅建設費50億円+医療センターの用地費60億円)にのぼることが明らかになりました。

この他にも医療センター建替費437億円(解体費用は含まず)、児童相談所の建設費16億円(毎年の維持管理も16億円)や消防局本庁舎の建替費用の支出なども予定されており、さらにコロナ禍の最中であるということで、「このまま区画整理を進めて大丈夫なのか」という発言が日本共産党以外の議員からも出されてきています。これを受けて山崎副市長から「今の行革だけでは足りないので、あらゆる事業を見直す」という答弁がありましたが、そうなると今後ますます福祉の削減や市民の負担増、公共施設の民営化が進められる可能性があります。

またこの区画整理は医療センターの移転が前提ですが、区域のほぼ全域が50センチ〜3メートルの浸水区域です。「(そこまでの事態になるのは)1000年に一度の雨が降った場合」とのことですが、地球温暖化で台風豪雨が強まる中、本当にここに災害医療拠点である市立医療センターを移転していいのかが問われます。

また今議会には、多数の指定管理(公共施設の運営を企業など民間の管理にすること)に関する議案が出されました。4月から、今は直営である市営住宅の管理運営は(株)東急コミュニティ、一宮少年自然の家の運営は(株)オーエンスが行うことになります。また公益財団法人・文化スポーツ公社が担っている総合体育館(船橋アリーナ)と武道センターの管理運営は、新たにコナミスポーツ(株)などの「ふなばし健康パートナーズ」という事業体が行うことになりました。本来、公共施設の目的は住民の福祉増進です。しかし運営を株式会社が担えば、利益を生むために人件費の大幅切り下げが行われ、官製ワーキングプアが増えたり、公共性が担保されずに薄れていく恐れがあります。

またこれまで指定管理で運営していた2カ所の老人デイサービスセンターについては、運営を希望する事業者がいなかったために廃止されることとなりました。日本共産党は、指定管理化されていく様々な施設が将来そのようなことになるのではないかと追及しました。

16日には補正予算3案の賛否表明、討論が行われ、私は一般会計補正予算案の反対討論を行いました。以下に全文を載せます。

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議案第1号 令和2年度船橋市一般会計補正予算について、反対の立場で討論を行います。

反対する最大の理由は、公共施設の指定管理、つまり企業など民間が施設を管理運営するための予算が多数含まれ、外国人総合相談窓口の業務委託が含まれていることです。

この間の公務員の定員削減によって、様々な公務部門で必要な正規職員が配置できなくなり、市民生活の向上や安全などの職務遂行に支障が生じています。市外では災害被災地の救援・復興にあたって避難所の生活環境などの改善について内閣府通達が出されても、通達を受けとめ実行する「公務の力」が不足していることが指摘されています。本市でも年末年始に、生活困窮者や生活保護の臨時相談窓口を開くよう厚労省から事務連絡が出されていますが、職員が疲弊しているために実施できずにいます。

公務員削減の皺寄せを受けるのは社会的弱者の市民です。しかし船橋市は、総務省の自治体戦略2040構想におけるAI導入に伴う公務員の半減化、自治体のプラットフォーム化を先導するかのように、続々と公共施設の指定管理化による公務員削減路線を突き進んでいます。

公共施設への委託や指定管理導入の問題点はいくつもあります。

①5年しか運営が任されないために受託業者が切り替わる可能性があり、業務の継続性が危ぶまれること。②施設運営のノウハウを自治体が失い、施設の設置目的に自治体が責任を負えなくなること。③人件費の抑制による労働者の非正規化、低処遇化を招き、職員が定着せず必要な技術が向上しないこと。④避難所の運営においては指揮系統が民間と行政との複数になり、配置された公務員が施設の使い方を知らないことから混乱を招くこと。など、数々の問題点が指摘されています。

地方自治法では、公の施設は住民福祉を増進する目的を持って設置するものとすると定められています。指定管理や業務委託の導入がこの目的を損なうことは明らかです。

また今回、文化・スポーツ公社がアリーナなどの指定管理を外され、40〜50代が多いプロパー職員7名の雇用が不安定となったことは、指定管理の弊害の一端を示しています。市は公社の設立者として、当該職員らの雇用と処遇を確保する責任を果たすべきです。

ひとり親家庭等の医療費助成制度のシステム改修費が計上されているが、制度の対象者を狭めるものであり、認められません。市民税所得割非課税世帯は無料となりますが、11月から来年8月までは償還払と、不便です。千葉県の実施要領の通知が遅れたことに起因していますが、制度変更時に市民の不利益が生じないよう、県との十分な協議が必要です。

医療センターと救急ステーションの設計業務委託料の減額補正だが、最大3メートルもの浸水・洪水が想定され、液状化対策も駅周辺など、ごく一部に留まる海老川上流地区の区画整理の予定地に、両施設を移転すべきではありません。質疑の中では誰が見ても不合理な決定にも関わらず、病院局も消防局も関与できず、市長の独断で進められていることが明らかになりました。特に医療センターの建設費は437億円と巨額です。少なくともこれだけの額を投じる両施設の移転先は安全な場所に変えるべきです。

ふるさと納税の寄付額増加に伴う返礼品購入費などの増額提案がされていますが、寄付の増加は市外の住民を犠牲にすることと同義であり、全体の奉仕者である公務員の業務には相応しくありません。しかも本市の市民税控除額は巨額であり、現時点で、この5年間で39億939万円もの赤字が出ています。学校を一つ建てられるほどの金額です。市は国に「ふるさと納税」の重大な問題点を指摘し、本制度の廃止、改善へと力を尽くすべきです。

保健所の人件費増額の補正ですが、提案後に新型コロナ第三波が急拡大し、介護老人保健施設なつみの郷で19人、市立船橋高校で100人という感染者のクラスターが発生しました。公務員削減路線のもとで保健所の業務は逼迫しており、過労死ラインを超える危険な長時間労働が常態化しています。正規の保健師を大幅に増員するなど、あらゆる手立てを尽くすことを求めて、本予算案の反対討論とします。

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