29日は午後から、千葉市で開催された表題の「九条の会・千葉地方議員ネット」第16回総会と憲法学習会に参加しました。 同会は発足以来、改憲問題や憲法9条をめぐる情勢を学習する集会や、駅頭宣伝行動などに取り組んできた、憲法9条の改定阻止を目的にした超党派の会です。
コロナ禍で三密回避のため集会に取り組めなくなりましたが、県下のオスプレイ基地化反対運動や、幕張メッセでの武器見本市に反対する運動などに、可能な限り参加したり寄付を送るなどの取り組みをしています。
司会を務めていただいた、市川市議の、やなぎ美智子さん(日本共産党)です。
同会はこの間、総会時は毎回憲法学習会を行っています。今回は「明日の自由を守る若手弁護士の会」(通称:あすわか)の弁護士、広松大輝さんに講師を務めていただきました。テーマは「改憲情勢と今後の展望」です。
自民党が提案する改憲四項目は、①自衛隊の明記と自衛権の言及、②緊急事態における内閣の機能強化、③参議院の合区解消、④教育の充実(無償化?)です。教育無償化はいいのですが、改憲しなくてもできることです。四項目以外にも憲法改正発議要件の緩和など、様々な問題点がありますが、ここでは専ら②「緊急事態〜」について説明していただきました。
その前に広松弁護士は、6月11日に改定された国民投票法について解説。改定の概要は、①投票人名簿の縦覧制度の廃止と閲覧制度の創設(以前より自由に見られなくなった)、②在外選挙人投票制度の整備、③共通投票所制度の創設(ショッピングモールなどでの投票)、④期日前投票の時間の弾力化と要件追加(例えば通常夜8時までの投票時間を7時までにするなど)、⑤洋上投票の対象者を拡大、⑥繰延投票の期日の告示の期限を2日に短縮、⑦投票所に入ることのできる子どもの範囲を拡大、というものです。
「投票しやすい環境を整えるためというが、公職選挙ではショッピングモールの投票所が増える代わりに一般的な公民館などの投票所が減らされていて、国民投票法でもそれが起きる恐れがある。また早く投票所を閉められる恐れもある」と言います。
そもそも国民投票法は改正以前から問題点があるとも。
具体的には、①最低投票率がない。最大の問題。たとえ国民の10%しか投票しなくても、過半数が賛成なら改憲が成立する。最低投票率は5割は必要と議論されている。②インターネットでの広告規制がない。お金のある勢力がYouTubeなどにどんどん広告を流すので、結局資金力の勝負となる。③外国企業を含む企業や団体、外国政府に費用等の規制がない。アメリカなど利害関係のある国や外国企業による介入の恐れ。他方で公務員や教職員の運動制限があり、国民みんなが取り組めない。④一部の船員や入院中の国民、要介護者(要介護5以外の者)などが投票できない可能性がある。
広松弁護士はこうした解説を行い、「少なくともこれらの問題が残されている状態で、公平公正な憲法改正が可能なのか。発議が許されるのか」と問題提起をしました。
またコロナ禍の元で、緊急事態条項が必要という声が自民党から出されています。しかし自民党の改憲案を見ると、「緊急事態の宣言」ができる条件の一つに「外部からの武力攻撃」と、しれっと戦争について入っていること、「宣言」の効果として「法律と同一の効力を有する政令を制定できる」=国会で議論しなくても法律と同等のものを内閣が独断で作れてしまう(=国会の無力化)、「内閣が地方自治体の長に対して必要な指示」ができる=地方自治への介入、「何人も」「公の機関の指示に従わなければならない」とされていることなど、危険性が大きいことが紹介されました。
私権制限を法律ではなく政令で行えるので、営業制限をさらに強化できるでしょうし、行政に権力が集中することで、著しい権利侵害が行われる恐れがあると言います。内閣が地方自治体に指示を行うことで、例えば自治体が住民の権利を縛る条例をつくることもありえるとのこと。
広松弁護士は最後に、「そもそも緊急事態条項が必要なのか。病床が足りないなどの問題は、法整備と政治のリーダーシップで改善できる。政権はやるべきことをやっていない。いきなり改憲に飛びつくべきではない。慎重であるべき」「コロナで集会が開けない中、改憲となると広告の力でどんどん進められてしまう。インターネットの活用などをしていきましょう」と呼びかけました。
総会で挨拶をする、鎌ヶ谷市議の津久井清さん(立憲民主党)。事務局長的な存在です。
久しぶりに憲法に関する講演を生で聞けたので、とても良かったです。国民投票法の問題点についても、知っているつもりで知らなかったことばかりでした。
船橋市議の池沢みちよさん、千葉市議の中村きみえさん・もりた真弓さん・あぐい初美さん(3名とも日本共産党)、習志野市議の入沢俊行さん(日本共産党)も参加されました。
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